ミッションスクールの七不思議(宮城県仙台市) | コワイハナシ47

ミッションスクールの七不思議(宮城県仙台市)

仙台市泉区の紫山は泉ヶ岳の山裾に拓かれた町で、現在では住環境の整った高級住宅地となっているが、「村崎」という村はずれを意味する古い言葉が地名の由来とされており、かつては人里離れた山深い場所だった。美咲さんたち某学園の生徒たちは、この地名について「処刑された人の血で山が紫に染まったから」と信じていたとのことだが、刑場跡は残念ながら同じ泉区内でも仙台の中心部に近い七北田という別の場所にある。

だから某学園がいわくつきの土地にある証拠は無いのだけれど、美咲さんが通っていた当時は、学校の七不思議が存在し、生徒の多くが奇怪な体験をしていたという。

某学園はカトリック系の女子修道院を母体とするミッションスクールで、キャンパスの奥まった場所に「ルルドのマリア像」という等身大のマリア像が建っていた。これが時折、血の涙を流すのだという。

また、中等部の校舎の地下の壁に、亡くなったシスターが埋められているとの噂があり、実際にその壁には常にシスターの形の影が黒いシミとして浮き出ていた。学園に併設された修道院のシスターには高齢者が多く、彼女らが寿命で亡くなるたびに朝礼で黙祷させられる生徒たちには、「壁に浮き出るシスターの影」は強い現実感を帯びて迫ったものだ。

しかし最も恐れられていたのは「はばたきの像」だろう。かつて病死した生徒の両親が亡くなった娘の似姿を作らせて学園に寄贈した白い石像で、少女の手から今しも鳩が飛び立とうとしている見事な彫刻なのだが……ときどき動く。少女の両手ごと鳩が消えていたり、向きが変わっていたりするのは不吉の前兆で、見た生徒は必ず怪我をすると言われていた。

キャンパスの裏山にも嫌な気配が漂っていた。昔は山の中に遊びに行けたのだが、美咲さんが入学したときには、すでにフェンスで遮られていた。以前、そこにある沼で溺死した生徒がいた。だから濡れそぼった少女の霊が今もその山を彷徨っている、という噂があった。

焼却炉でシスターの遺体を焼いているという噂もあった。大人が潜り込めそうな大型の焼却炉が四基あり、生徒は近づいてはいけないとされていた。学園の福祉事業の一環として知的障碍者のおじさんが焼却炉係として雇われており、生徒がゴミを持って行くと受け取って燃やしてくれるのだ。

ある日、美咲さんがゴミを持っていくと、おじさんが席を外していた。そこで、焼却炉の空気入れの小窓からゴミを入れてしまおうと思いついた。

中でゴーゴーと炎が燃え盛り、小窓は橙色に輝いていた。美咲さんがそこに近づいたそのとき、焼却炉の奥から絹を裂くような凄まじい悲鳴が聞こえてきた。

美咲さんは「あれが幻聴でなかったら、私は誰かを見殺しにしたことに……」と言う。

第七七話黒い人の教室

美咲さんが通っていた高校には、黒い怪人が棲んでいた。

授業中、席に着いて勉強していると、ふいに真後ろに誰かが迫ってきた気配がする。

それが、左の肩越しに前に乗り出してきて、横から顔を覗き込む──視界の隅に真っ黒な塊が目に入る。目鼻も口も何もないが、形は人間そのものだ。

振り向くと、消えている。

これが出没する教室が幾つかあって、学年の最初にそういった教室に割り振られると、クラスに動揺が走った。そして誰かが授業中に急に振り返ると、他の生徒たちは「黒い人が来たんだな」と密かに思ったものだった。

次は自分の番かもしれない。クラス全員、覚悟するしかなかった。

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