母の夢告げ(千葉県) | コワイハナシ47

母の夢告げ(千葉県)

生前、拓也さんの母は自分には霊感があると信じており、家族もそれを疑わなかった。

母は、その霊感は水子に関係があるように考えていた節があった。

両親は最初は岩手県の父の実家に住んでいて、そこで拓也さんの兄にあたる子どもを授かったのだが、自宅で流産してしまい、胎児の遺体を家の畑の隅に埋めたのだ。

後に千葉県に引っ越したときに成田山の墓所を購入した。そのとき父の実家に行って、遺体を回収するために胎児を埋めた場所を掘ったけれども、どうしても遺体が見つからず、仕方なくそこの土を持ってきて、買ったお墓に埋けたそうだ。

それ以来、霊感が発現したということだった。

母はよく夢でお告げを受け、それが家族の役に立つことが少なくなかった。

たとえば、拓也さんが小学生の頃に、怪しげな新興宗教の信者が家を訪れて、たまたま留守番をしていた祖母を言いくるめて入信させてしまったときがあった。

その晩、母は、家の仏壇から黒い手が何本もわらわらと出てくる夢をみた。

「変な宗教をご先祖さまたちが嫌がっているということだ」

そう母が諭すと、祖母は素直にその宗教から脱会した。すると後に、そこは信者を洗脳して高額なお布施を巻きあげるなどして問題になっている宗教団体だったことがわかった。

祖母が数えで八〇歳、満七九歳の誕生日に傘寿のお祝いをした。紫色のちゃんちゃんこを着て嬉しそうにしていたが、それから間もなく祖母はポックリと亡くなった。

しばらくして、母はこんな夢を見た。

──目の前に見たこともないほどの巨木があり、その根元に開いている暗い洞から、白い死出の着物を纏った祖母が現れた。「一緒に来てくれ」と祖母が言うので、背中に祖母を負ぶって洞に入っていくと、そこは靄が垂れこめたトンネルで、トンネルの向こうに田園風景が広がっていた。藁葺き屋根の集落と田畑。農作業をする白い死装束の人々……。一軒の家の前で、祖母は母の背中から下りた。「ここが私の家だ」と、祖母は母の手を引いてその家に入った。母は農村の景色もこの家もすっかり気に入り、死んだらここに来てもいいかと訊ねた。「ここに来られるかはわからんぞ」と祖母は答えた。とりあえずこの村に相応しい衣装を着ようと思い、探すために祖母の箪笥を開けようとしたところで目が覚めた──。

この夢を見た後、母が祖母のお墓に行きたがったので、家族全員で墓参りしたら、祖母の卒塔婆に掌ほどもある蛾がとまっていた。それを見て「ばあちゃんが私に会いに来た」と母が言った。翔んだ気配がなかったが、立ち去るときに見ると、その蛾はいなくなっていた。

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