泉州の玉ねぎ小屋(大阪府) | コワイハナシ47

泉州の玉ねぎ小屋(大阪府)

大阪南西部の泉州に住んでいる、山崎さんから聞いた話。

玉ねぎを熟成させるために、吊るす小屋があったんです。その小屋の中で小学校の時、かくれんぼしててね、干し首を見つけたんです。

上の棚の方から僕の手の上に、ころんっと転がり落ちて来てね、昔の怪奇漫画で見たような小さな干し首で、大きさはザボンくらい。

顔全体が皺くちゃで、口と目が赤い糸で縫われてて、髪の毛がココナッツの繊維みたいにパサパサして縮れてたんです。

最初は作りもんかなって見てたんですが、首の断面に白い骨や神経や血管の干からびた紐みたいなのがあって、わああ、えらいもん見たって、放り投げてしまったんです。

不気味な物に触れてしまって気持ち悪かったから、手をぶんぶん回しながら走って家に帰ったら、農作業から帰って来たばかりの親父が、外で長靴の泥を洗って落としてたんです。

「お父ちゃん、お父ちゃん、小屋に干し首があった。怖い!怖い!」って大きな声で言って、縋り付こうとしたら、あっち行けって言われたんです。

でもこっちは半分パニックやからね、もう何を言うていいのか分からんようになって、わあわあ泣くしかなかった。そして、ちょっとしてから、親父がもしかしたらと思ってくれたんか、小屋に本当にそんなもんがあるかどうか、確かめに行くって言ってくれたんです。

でも、小屋の中を探しても何も無かったみたいで、多分玉ねぎの髭を髪の毛、その皮を目や唇に見間違えたんやろって言われて、なんか腑に落ちひんなあと思いながら、夜は寝たんです。

そっから、一週間か十日くらいした時にね、僕が干し首を見つけた玉ねぎ小屋が燃えたんです。そして、親父が小屋の消火活動中にね、ふっとおらんようになったんですよ。

母親は、某国に拉致されたんちゃうかとか、女やろかとか、色々な可能性を考えながら随分捜したらしいんですけどね、今も見つかってないんです。

僕は、あの干し首が親父をどっかに連れてったんちゃうかあって言ってるんですけどね。

それ以来、うちでは玉ねぎを育てるのやめて、畑も半分売って、残りは人に貸すようにしてるんです。人に貸す時にはね、玉ねぎは植えんといて下さいって必ずお願いしてるんです。

引っ越せばいいだけの話なんですけどね、玉ねぎ畑や干してある玉ねぎを見ると怖いんですよ。僕もなんか、違う所に引っ張られてしまいそうで。

でも、明日になったらひょっこりと親父があの時の姿のままで、年も取らんと戻ってきそうな気もしてるんですけどね。浮世離れしてたところもあったから。

不幸とか不思議なことってなんか急に訪れますよね。しかもいっつも目にしてるような身近なところから。僕、そういうところから人の日常とか生活って急に壊されると思ってるんです。

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