幽霊画の秘密(福岡県飯塚市) | コワイハナシ47

幽霊画の秘密(福岡県飯塚市)

あるとき、左官屋の壱郎さんは福岡県の飯塚市で仕事をすることになった。

ちなみに壱郎さんは福岡県の別の町の出身だ。同じ現場に居合わせた職人に、飯塚市の歴史や言い伝えに詳しいのがいて、面白い話を幾つも聞かせてもらった。

ここには昔、平家の落人村があって、今でも平氏の血を引く子孫がいるとか……。

甕棺といって素焼きの甕に遺体が納めてあったことで有名な国指定重要文化財《立岩遺跡》をはじめ、寺山古墳や川島古墳など、古代の墓があちこちにあるとか……。

戦国時代の山城跡や合戦場跡も多く、当時の逸話には陰惨なものも少なくない。

たとえば、宗像氏の姫の病気快復を祈願した三〇人の山伏が、帰りの山道で皆殺しにされた話。その死体を埋めた山伏塚が市内にあるが、あそこを掘ったら山伏たちの骨が出てくるかも……とか。

壱郎さんはどれも興味深く聴き入り、それが嬉しかったようで職人の方でも次から次と話を披露した。だが、とうとう種切れになって、すると、個人的な体験談を話しだした。

「友だちに古か寺ん息子がおって、そん寺に一幅ん幽霊画があるったい。江戸時代か明治時代かわからんが、大昔に誰かから預かって、そんままになったげな。きっと押しつけられたに違いなか。なしてかて言うと、そん幽霊画は、見ただけで祟りに遭うそうなんや」

壱郎さんは好奇心を掻きたてられて、「もしかして、見たんか?」と訊ねた。

職人は頭を振って「見たら死んどぉばい」と笑った。そこで、「どげん絵なんか、話ぐらい聞いとぉやろう」と追求したのだが、「話しとねぇし知らん方がよか。誰かに話しただけでん祟らるるかもしれんけん」と言って、頑として口を割らなかった。

その翌朝、いつものように現場で顔を合わせると、職人が心持ち青ざめて、

「昨夜、例ん寺ん息子から電話が掛かってきて、幽霊画んことば、なして他人に話したんかて言うて問い詰められたんや……」と話しはじめた。

「確かに職人仲間に話したが、なしてわかったんか問うたところ、『幽霊画ば保管してある場所から声が聞こえた』て言うっちゃん。しかも、『もしかしたら今夜、幽霊がおまえば訪ねて行くかもしれんけん気ぃばつけれや!』っち……」

「……来たと?」

「いや。来んかったごた!ばってん昨日、壱郎しゃんに話しとったら確実に来たんやろうな。幽霊画ん秘密ば、うっかりバラしゃのうてよかった。助かったばい!」

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