天満橋の某デパートに纏わる話(大阪府) | コワイハナシ47

天満橋の某デパートに纏わる話(大阪府)

天満橋にある某デパートに、以前お勤めだったというTさんからZoom取材で聞いた話。

機械音痴の私が、ネット上で取材が出来るようになったのは、Tさんが色々と教えてくれたおかげだ。

京阪の天満橋駅の傍にあるそのデパートは、川沿いに建っていて、何故こんな作りにしたんだと、客が不思議に思う場所が多い。

元あった建物に改装を繰り返したからかも知れない。

そんな某デパートには、エレベーターでしか行けない地下三階に、倉庫があった。

利用出来るのは店員や関係者だけで、奥行はかなりあるのだけれど、中二階の構造になっており天井までの高さが百二十センチほどしかない。

当時、その場所に新入社員は荷物を取りに行くという根性試しがあった。

普通は二人一組になって行くらしいのだけれど、Tさんとペアで行く予定だった人が、急に休みになってしまったために、一人で荷物を地下三階にある中二階まで取りに行くことになってしまった。

エレベーターのドアが開き、中二階の倉庫の中で、Tさんが背を屈めながら奥にある荷物の場所に進もうとすると、パンっと音がして照明の電球が切れた。

流石に真っ暗な中、物だらけの倉庫で作業は出来ないので、一旦近くにあった買い物かごを手に取り、エレベーターに戻った。

そして、エレベーターのドアに扉が閉まりきらないように買い物かごをストッパー替わりに挟み込んだ。そうすれば、エレベーターから漏れる灯りで作業が出来る。

時々、エレベーターの扉が買い物かごを挟む「ガッチョン」という音を聞きながら、身長百五十センチ台のTさんは、中腰の姿勢のまま薄明かりの倉庫の中を手探りで先輩に指示された荷物をなんとか見つけ出した。

やっとこれで帰れると思ったところ「ガッチョン、ガッチョン、ガタン」と音がして、買い物かごが倒れてエレベーターのドアから外れ、急にまた真っ暗になった。

仕方なく、エレベーターの方角に見当を付けて、荷物を手に転ばないように気を付けながら戻ろうとすると、後ろから「Tさーん!」と声がした。

聞き違いかなと思って進むと、「Tさーん!」とまた名前を呼ぶ声がした。振り返っても闇の中で全く何も見えない。

先輩の誰かが隠れて自分の名前を呼んでからかっているんだろうか。そう思いながらTさんはエレベーターに向かって歩き続け、壁に手が当たったので、手探りでエレベーターの呼びボタンを探して押した。

「Tさぁーん」

今度は、声が頭の真上から聞こえた。中腰でも頭が当たってしまうほど低い天井だ、当然頭上に隠れるスペースなんて無い。

Tさんは血の気が失せ、怖くなったのだけれど、逃げる場所も無く、じっとその場でエレベーターを待つしかなかった。エレベーターが降りてくる音がやけに遅く感じ、Tさんがその場に待っていると、また名前を呼ばれた。

モーターの回転軸の音がして、やっとエレベーターが来て扉が開いた時は大慌てで飛び乗った。

すると、そこには同僚がおり、戻ってくるのが遅いTさんを心配して迎えに来たそうなのだけれど、ただ事ではない雰囲気のTさんを見て、何があったのか訊いた。

一連の出来事を説明すると、ここは声が出るからね……と言われたらしい。

この手の話が沢山あるという天満橋の某デパートなのだが、不思議なことに三階から下の階でしか奇妙なことは起こらなかったらしい。

それはそのデパートで働いている他の人も共通の認識で、Tさんも七階の売り場で働いていた時は特に何も無かったらしい。

そんな彼女が異動で、三階で働くことになった時の話だ。

北東に設けられた小さな催事場の付近の窓の外から、わあわあという歓声と花火の音が聞こえて来た。

天神祭が近いこともあったので、その予行演習で花火でも上げているのだろうと思った。

しかし、川沿いに目を向けても誰も騒いでいる人はいない。

それなら、今聞こえているこの音はなんだろう?Tさんが不審に思うと、同じ音を聞いていたのか、同僚が言ったそうだ。

「ほら、今日は大阪大空襲の日だから」

そこで、これは歓声でなく悲鳴と砲撃の音だと気が付いたということだった。

Tさんが語るそのデパートに纏わる話はまだまだ多くあるので、いつかまた別の機会に披露したいと思っている。

シェアする

フォローする