名月姫(大阪府豊能郡能勢町) | コワイハナシ47

名月姫(大阪府豊能郡能勢町)

名月峠は、大阪府豊能郡能勢町にある峠で、そこには地名の由来となった名月姫に纏わる悲しい話が伝わっている。

摂津御園荘浜村に、三松刑部左衛門尉国春という領主がいたのだが、子宝に恵まれなかったので夫婦で神仏に願掛けを行なった。すると、満願の満月の夜に、美しい女の赤子が生まれた。

国春夫婦は月明りの下で授かった我が子に、名月姫と名付けた。

姫の輝くような美貌は広く知れ渡り、能勢家包の妻となり、平穏に幸せな日々を過ごしていたのだが、時の権力者、平清盛に見初められ、無理やり夫と引き離されてしまった。

名月姫は嘆き悲しんだのだが、清盛の権力には抗し切れないことを悟り、峠で短剣で胸を一突きし、彼の物になることを拒んだ。

姫の亡骸は峠に葬られ、それ以来「名月峠」と呼ばれることになったという。

名月姫の墓は峠にあり、現在でも結婚に関係する車両は、ここを通ることを控えることになっている。

だが、禁止されたことをやりたがる人というのは、どこにでもいるもので、結婚式を翌週に控えたカップルが、あえて名月峠にドライブに出かけた。

しかもトランクには、披露宴で使う予定の手作りのウェルカムボードを乗せ、指輪を乗せるリングピローや、ゲストへの返礼品まで車内に置いていたらしい。

「どうしてそんなことをしたんですか?」と、この話を提供してくれたXさんに聞いたのだけれど、本人が言うには「見せつけてやったら、なにか本当に起こるかなと思って」ということだった。

そして実際「なにか」は、起こった。

名月峠の下りで、中央線を大きく越えて進んできた対向車がいたので、車のハンドルを横に大きく切って避けようとしたところ、Xさんたちの乗る車が脱輪してしまった。

しかもその時、車が大きく縦に揺れて、Xさんは後部座席でシートベルトをしていなかったこともあり、首を強く打ち付けて鞭打ち症になってしまったらしい。

その結果、鞭打ち症のギプスをしたままドレスを着るのが嫌だというXさんの要望もあって、結婚式は延期となってしまった。

勿論、式場やドレスのレンタル会社からは、日時変更の余計な費用を取られてしまったそうだ。

名月姫の祟りかどうかは分からないけれど、後日Xさんは、お墓に行って姫に謝った。

ただ、延期になった結婚式の当日、ドレスやリングピローから何故か数本の針が見つかったのだという。会場の人もXさんも、どうして針がそんな場所から出て来たのか見当もつかなかった。

Xさんは、謝りに行ったものの、もしかしたらカップルで行ったのが悪かったのだろうかと名月姫に対して悪いことをしたなと今は反省しているそうだ。

ちなみに結婚式の延期について、招待客から色んな苦情を言われたので、アルファベット表記でも特定できないようにしてくださいねと本人に言われたので、仮にXさんと表記することに決めた。

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