助けてくれぇ(青森県) | コワイハナシ47

助けてくれぇ(青森県)

青森県の工藤清さんは、夜釣りでメバルが入れ食いになる地元の穴場を知っていた。六月のある晩のこと、そこで釣り糸を垂らしていると、風に乗って遠くから人の声が流れてきた。

「……てくれぇ……た……てくれぇ……」

どうやら「助けてくれ」と繰り返している。年老いた男性のようだ。

声は次第に近づいてくる。それと同時に、辺りに魚が腐ったような悪臭が漂ってきた。

「助けてくれぇ。助けてくれぇ……」

近くまで来た。しかし声だけで姿が見えない。清さんは慌てて帰り支度をし、乗ってきた車を目指して駆けだした。すると声が、「助けてくれぇッ」と叫びながらついてきた。

「助けてくれぇッ」

追いつかれた!もはや耳もとで怒鳴っている。しがみつかれていないのがむしろ不思議だったが、必死で自分の車に逃げ込んでドアを閉め、大急ぎでエンジンをかけた。

──電源が入っていないカーオーディオのスピーカーが、虫のようにジジッと鳴った。

かと思うと、声を限りに叫びはじめた。

「助けてくれぇッ!助けてくれぇッ!助けてくれぇッ!助けてくれぇッ……」

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