遊び場(大阪府四條畷市) | コワイハナシ47

遊び場(大阪府四條畷市)

四条畷にお住まいの佐藤さんから聞いた話。

「十歳か九歳くらいの時に、近くの山の方に行って、友達と一緒に洞穴を見つけたんです。

秘密基地って誰だって好きでしょう?そこにね、お菓子やらゲームやら折りたたみ椅子やらを持ち込んで、みんなで遊んで凄い楽しかった。

映画の『グーニーズ』みたいやなあって、奥の方まで探検したりね。中は地面も固くてちゃんとしていて、入り口がしっかり大きかったからか、光も奥の方まで届いてたんですよ。

ホームレスが住んでたこともあったんかな、ちょっとした家財道具なんかもあったし。自然に出来た洞窟っぽくなかったから、最初はみんな、防空壕の跡か坑道の跡かなって思ってたんです。

大人に言うたら、危ないって怒られると思ったから、そこで遊んでいるのは親にも学校の先生にも秘密にしてました。

そこの中で、漫画を読むだけでも、わくわくして楽しいんですよ。

でも、その遊び場を共有しているメンバーだけが、時々授業中に、ふわあって心地よくなって倒れることが何度もあったんです。

貧血みたいに、ふっと意識が浮いてバターンって。それと、やたら鼻血が出たんです。

親が気にして医者に何度か連れていかれたけれど、原因は分からずで。

秘密基地通いは、毎日のようにこっそりと続けてて、そこに立ち寄らないと、一日がちゃんと終われないような心持ちに当時はなっていました。

で、授業中に相変わらずよく倒れるし、保健室で同じメンバーが顔合わせるんです。

ちょっと休んだら、すぐ元に戻るんですけどね。

でも、またしばらくしたら秘密基地を共有している誰かが倒れたり、急にノートが真っ赤っかになるくらい、どばあっと鼻血が出るんです。薄々仲間全員、あそこで遊んでるんが関係してるんじゃないかなとは思ってたんですが、でも皆、遊び場に通うのは止められなくって。

そんな状態が続いていたある日、家に帰ったら袴姿の見慣れないおじさんが、怖い顔して座ってたんです。

親が出て来て、この人の横に座りなさいと、ランドセルを下ろす間もなく言われて、仕方なく座ったんです。

部屋の様子がいつもと違って、よそよそしくて居心地は悪かったですね。

袴姿のおじさんは、どこかで見たようなんですけど、思い出せない顔で、多分親戚でもないし、誰やろうって考えながら、じろじろ見てました。

しばらくしたら秘密基地通いのメンバーが家に集ってきて、それぞれの親も来たんです。

それで、ああ、この人はあそこの場所の管理人か何かで、これから凄い叱られるんやろうなあって、思いながら俯いてじっとしてたんです。

部屋の中、だれも喋らなくってね。

しばらく無言の時間が過ぎ去ってから、急に袴姿のおじさんが、袂から白い楕円形の物を取り出して、僕から順番に子供たちの頭をそれで、とんとんって叩いたんですよ。

そっから大きく柏手をパァン!パァン!って二回ほど打ってね、そして『もうこれで終わりました、ご安心を』と言って帰って行ったんです。

きょとんとしてたら、その時間にしては珍しく父親が帰って来まして、あの人は子供らが憑かれていたから来て貰った拝み屋さんやって説明されたんです。

なんか、うちらが遊んでいたのは、防空壕じゃなく斉場の跡地で、そこで昭和四十年くらいまで土葬されてたって聞きました。

特に洞穴遊びを怒られはしなかったんですが、秘密基地はその後、完全に埋められてしまったんです。

それと、絶対に山の方にだけは行くな、と何度も言われてましたね。

結局、こっそり行ってましたけど。

あの時の楽しかった思い出のせいか、穴が埋められた今でもふらっと行きたくなるし、煙草を秘密基地があった場所の近くまでわざわざ行って吸っています。

別に、当時の思い出に浸りたいわけでもなく、なんとなく定期的に足が向いてしまうんですよ。

当時の拝み屋も亡くなっているらしいんで、また憑かれると嫌なんですけどね。

でもついね、行きたくなるんです。煙草みたいにね、ないと口さみしいというか落ち着かない。今もね、あの場所に行きたいなと思っていて。転勤の辞令が遠方やったので、前の会社を辞めて、遊び場やった山が見える職場を探して、転職したくらいですから。

僕だけじゃなくって、あの当時、一緒に遊んでいたメンバー全員が、おんなじ感じですね。行くとばったり会うことも珍しくないですよ。

特に行っても、そこにはなんも無いんですけどね。

シェアする

フォローする