茨木市ぶらぶら(大阪府) | コワイハナシ47

茨木市ぶらぶら(大阪府)

先日行なった怪談会でKさんから、茨木市には色んな怪奇スポットがあると聞いたので、取材に行ってみることにした。

茨木市といえば、まず思いつくのは「茨木童子」だろう。茨木童子とは、京都大江山の鬼、酒呑童子の一番の子分と言われおり、頼光四天王の一人、渡辺綱に片腕を切り落とされたという伝説が残っている鬼だ。

色々と恐ろしい伝説が残っているが、現在は茨木市のそこら中に、可愛くデフォルメされたゆるきゃら姿の茨木童子像を見ることが出来る。

茨木駅を降りてしばらく歩き、高校を横目に少し進むと「貎見橋跡」があった。

ここは『茨木市史』によると、産まれた時から髪も歯も生えていた赤子を見た母親が、これは鬼子に違いないと思い、床屋の前に捨ててしまった。

捨て子は、人の好い床屋の夫婦に育てられ平穏な日々を過ごしていたのだが、ある日誤って頬を切った剃刀の血を舐めてしまい、血の味を知ってしまった。

そのせいで人の姿からどんどん鬼へと変貌し、床屋から逃げ出して橋から川面に己の姿を映したところ、そこには完全に鬼となった恐ろしい自分の顔が水面に揺らいでいた。

鬼となった顔を見た童子は、人間世界での生活を諦めることを橋の上で決め、山に入ってしまったという。

今は橋は無く、案内板だけがその伝説を伝えている。

近くには坂上田村磨が創建したと伝えられる、茨木神社もある。

橋の跡と神社を見物した後、ぶらぶらと町を歩きまわってみたのだけれど、これと言った怪奇スポットを見つけることは出来なかった。

仕方がないのでKさんに、案内をお願い出来ないかと電話をかけて聞いたところ、六時過ぎなら少しだけ可能だという返事を貰った。

時計を見ると午後三時過ぎで、まだまだ時間があったので、少し街中を観光することに決めてバスに乗り「茨木市立キリシタン遺物史料館」に行ってみることにした。

茨木市周辺は戦国時代、キリシタン大名として有名な高山右近が治めていた地域としても知られている。

キリシタン遺物史料館には、茨木市の隠れキリシタンに纏わる資料が多く展示されていた。

例えば歴史の教科書には必ず掲載されている、聖フランシスコ・ザビエル像は、キリシタン遺物史料館向かいのH家の梁にくくりつけられていた「あけずの櫃」に収められていた物で、代々厳重に封印されていたのを、ご住職の藤波大超氏により開封されて発見された。

「あけずの櫃」にはザビエルの肖像画だけでなく、他のキリシタンの信仰に関係する品々も秘蔵されていたという。

H家の人々は口伝で「開けると祟りがあり、家に災いが降りかかる」と聞かされており、他人にその櫃の存在を明かさないだけでなく、家人も箱を開くことはタブーとされており、中身も知らされてはいなかった。

近くにはクルス山と呼ばれる山があり、風に乗って誰かが唱えているのか、今も隠れキリシタンが伝承してきた祈りの歌オラショを耳にする人がいるそうだ。

小さいながらも信仰の重要性を感じさせられる資料館で、じっと展示品に見入ってしまい気が付けばKさんとの待ち合わせ時間が迫っていた。

バスを待っていては間に合わないので、私は急いでタクシーを呼び、大慌てでKさんの指定する待ち合わせ場所に急いだ。

幸いなことに道が空いていたおかげで、遅刻することはなく指定した時間にKさんと会うことが出来た。

「すみません、お忙しい時に呼び出してしまって」と言うと、マスク越しにも分かるにっこりとした笑みを浮かべて、気にしないでくださいと答えてくれた。

「本当は茨木市内のあちこちを案内したかったんですけどね、この後、予定が急に入ったので手短な所だけ、立ち話でお話しします。

駅の駐輪場に『塚』と書かれた石があって、検索しても何も出てこないし、図書館で調べても全く資料が無いし、地図にも表記されていないんですよ。

そこに時々血を流す時計が置かれてるって噂が、十年くらい前にあって、時計の針が示している時間が自分の死ぬ時間だとか、そういう話があったんです。

後、茨木と高槻の境目に古墳があるんですけど、そこに夜行くと、体の一部分が浮いてることがあるらしいんです。耳とか指とか、鼻とか足とか。

その時、見た部分を近いうちに怪我するとか、腫れるって話があって、これは俺の同級生が実際見たって言ってました。それから市内に丑寅って地名の場所があるんですけどね、そこで俺の連れは、変な二人組を見たって言うんです。

上半身が裸でね、黒い鞭みたいな物で背中を叩いてて、何あれ?って見ていたら、その二人の背中がごぼごぼと隆起してるんです。

で、鞭の先の叩く部分が、髪の毛を束ねてるみたいに見えたらしくって、何やったんやろうアレって。

これも、連れから聞いた話なんですけど、赤い糸をクロス山に持って登るんです。

そして山頂近くで、十字に置いてくーろす、ころす、ころさず、くろす、さーがった、あーがった、ころされたーって歌をうたいながら、糸を色んな形にずらすんです。

歌い終わった時に二本の糸がアルファベットの形に見えたら、その文字のイニシャルの人が翌日に死ぬって呪いの掛け方らしいんですよ。

隠れキリシタンとかの話も多いから、そういうのに関連あるんですかね。

単なる言葉遊びっぽいですけどね。連れの知り合いが試して、途中で怖くなって止めたんですよ。そしたら人差し指と中指が急に腫れて膿んでしまって、しかも治りがむっちゃ遅かったみたいです。

実は俺より、連れの方が茨木の怪談とか知ってて詳しいんですけど、話すと呼び込むタイプなんで今日も誘ったんやけど、嫌がられてこなかったんですよ。

それにこないだのオンライン怪談会の後にも、今日K君なんかこわい話したでしょ。家にいっぱいお化け寄って来てるから……ってバレてしまって。

こんな話してるから今も家に多分また何か集まってると思います。

俺は感じへんから、ちょっとそういうの羨ましいんですけどね。それになんでか、お化けの話をしたりすると、翌日いい商談が舞い込むことが多いんですよ。

偶然かもしれへんけど、だから俺、怪談会とか参加するん好きなんです。今日もダメやと思っていたお客さんから、決めたって連絡が田辺さんと電話した後に入って、その契約書を持ってこれから行くんですよ」

怪談会の後に、ちょっと良いことがあったという人からの報告は、よく聞く。

帰りに買ったくじで数百円当たったとか、オンライン・ゲームで目当てのキャラが出たとか、コンビニエンス・ストアのくじで買おうと思ってた商品を引いたといった内容で、怪談と関連があるかどうかは分からない。

陰陽五行思想で、陰気な物を手元に置いたり話をすると、陽気を呼び込むという話がある。幽霊は陰とされて金は陽なので、その影響がもしかしたらあるのかも知れない。

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