ヒガウマウ(大阪府) | コワイハナシ47

ヒガウマウ(大阪府)

守口市に住む、安藤さんから聞いた話。

安藤さんは数年前に開催されたイベント時に知り合った人で、明るくいかにも今どきの女性っぽい感じの人なのだが、かなり古い家に住んでいて変わった風習を沢山知っている。

例えば「ヒガウマウ」をしてしまった日は、彼女は殆ど外に出られないという。

聞いたことの無い言葉だったので聞くと、それは忌中の禁忌を犯してしまったり、幽霊を見てしまった時に用いられる言葉らしい。

例えば忌中は神棚に手をついたり灯明を上げたりすると、禁忌によるヒガウマウなので、忌むらしい。

他にも、死出の旅にたった死者と同じ傷がつくこともヒガウマウと言われるそうだ。

ヒガウマウになってしまった場合は辻蝋燭という、葬送の時に通った道に蝋燭を置くか、塩の入った盥で足を洗うか、塩に足を浸けると良いのだという。

それでも解決しない場合は家に籠るしかないそうだ。

大阪に長く住んでいるけれど、聞いたことのない風習なので、この話をしてくれた安藤さんの家にのみ伝わるものかも知れない。

そんな彼女は、足だけの幽霊に追われたせいで家を出られず、中学校時代二ヵ月ほど不登校になったことがあるそうだ。

「市内の来迎寺に幽霊の足跡がついた布があるやろ。

あの布に残されている足跡みたいに、家の周りにその日、雨が降ってて、足跡だけが残って見えてん。まるで、私が家から出てくるのを、そこで待っているみたいにな。

試しにちょっとだけ外に出てみたら、私の方めがけて足が、足跡を残しながらついて来てん。

足といっても、足と足首が見えるんじゃなくって、足跡だけがぺたっぺたっとついて来る感じで。

それについて来られると、自分の周りだけ空気が薄くなったみたいに息苦しくなって。体調も生理が重い時みたいに辛くって。

そういうシビトの足跡や姿を見てしまうのもヒガウマウやから。

もう辛いし、しんどいし、無理すると貧血みたいに、絶対なるし。だからお香とか塩で対抗して、なんとか耐えてやり過ごしてんけどな。今はもうあの時ほど若くないから、あれが来たら耐えられる自信がないわ」

私はそういった経験がないので、そうだねと相槌も打てず、とりあえず大変ですねとだけ伝えた。

もともと暗くて陰気な人生を送って来たので、明るい女性と接すると、なんと言っていいのか分からなくなってしまうからだ。

ちなみに、来迎寺の「幽霊の足跡」だが、これは今から二百年以上前の住職、慈天上人が夕方のお勤めをしていた時に、現れた女の幽霊「お石」が残していったものだそうだ。

拝観出来るのは法要の時のみなので、希望者は事前にお寺のサイトで確認した方が良いかも知れない。

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