福山グリーンライン(広島県福山市) | コワイハナシ47

福山グリーンライン(広島県福山市)

広島の有名な心霊スポットとして、福山グリーンラインという場所がある。水呑町洗谷から鞆町後地まで総長一四キロメートルのドライブコース、県道二五一号線の通称である。

ドラマや映画でも有名な鞆の浦を眼下に、瀬戸内海や四国山脈を眺められる国内有数の景勝地だ。

そんなグリーンラインだが、現在でも多くの事故が発生している。加えて過去には地元市議会議員の子供が誘拐された後に殺害、トンネル付近に捨てられるという痛ましい事件が起こった。付近には供養のために多くの地蔵が設置されているが、数体の頭部はなぜか紛失している。

心霊現象としては女性の霊が出る、車が突然動かなくなる、子供の泣き声が聞こえてくるなど他の心霊スポットでもよく聞く話ではあるが……。

「実際の所どうなのかなって、冷やかしのつもりで向かったの。どうせ暇だったし」

友人の今村は、当時のことを思い出してそう語る。

「彼と二人で、深夜〇時頃にグリーンラインへ到着した。トンネルに霊が出るっていうから、路肩に車を停めて歩いてみたの。でも何も起きなくて、正直私はほっとした」

窓の外を眺める彼女の瞳は、悲しみを帯びている。

「献花を発見して、馬鹿みたいにはしゃいでたっけ。不謹慎だよね。手あたり次第に写真を撮って、もしかしたら何か写るかもしれないって。すると一台の車がやってきたの」

詳しいことは分からないが、国産の白い車だったと言う。今村達を通り過ぎて、すぐに視界からいなくなると思っていた。しかし……。

「トンネルを越えた辺りで、その車は停まったの。それに気付いた私達は、何だろうと思った。少しすると男性が一人、運転席から降りてきて……」

何かを叫びながら向かってきたらしい。怖くなった二人は、急いで自分達の車へと戻った。

「何だよアレ、危ない奴?」

「恐い!早く立ち去ろう!」

エンジンがかからないとか、そういうお決まりはやめろよと彼が叫ぶ。幸いにもそのようなことは起こらず、車はすぐに進み出した。

尚も迫ってくる男に対して彼は窓を開け「残念だったな、バーカ!」と捨てゼリフを吐いてUターン。その場から立ち去ることに成功した。

「本当に恐ろしいのは霊ではなく、生きた人間ってことか」

皆に話すネタができたと嬉しそうに喋る彼に対して、今村は表情を曇らせたまま。

「大丈夫、すぐに忘れるってあんなの」

「……そうじゃなくて……窓を開けた時、トンネルだったせいかな。聞こえた?私の気のせいかもしれないけど……」

「まさか子供の泣き声がしたとか言うんじゃないだろうな」

あざ笑うように言う彼に対して、頭を左右に振る。

「そうじゃなくて……男性の声に違いないけど……もっと短い……」

しばらく考え、もうじきコーナーに差し掛かろうとした時だった。

(……ろ……しろ……?…………うしろ?)

今村がミラーで後部座席を確認すると――そこには見知らぬ女性の顔。

「きゃああああああああああああああッッッ!!」

「えっ!?な――うわぁあああああああああああッッ!!」

車はそのままガードレールを突き破り、崖下へと転落。たまたま通りかかった遠距離トラックの運転手が事故を発見、数時間後に救助される運びとなった。

「あの時、私が悲鳴を上げなければ……そんなことを考えてしまうの」

彼は事故の際に外へ投げ出され、帰らぬ人に。今村は一命を取り留めたが、腰椎を損傷したようで車椅子生活の可能性も高いらしい。

持ってきた見舞いの品を置き、私は何と声をかけるべきか悩む。ただ、不謹慎かもしれないが……大事な友達を失うことにならず、本当に良かった。

「…………退院したら、グリーンラインへ献花に行くつもり。トシも一緒に、ついてきてくれる?」

私は頷きながら「勿論」と答えた。

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