Ⅰさんが中学の時、クラスにGという男の子がいた。
授業中、突然あらぬ方を見て「ひッ」とか「うあっ」とか奇声を上げる変わった奴だった。
その様子から、おそらくなにかを見ているようなのだが、それを気味悪がってみんなはGと距離を置いていた。
京都へ修学旅行に行った時のこと。
「なあ、なあ、Kが怖い」とGが言い出した。
「なんで?なにが怖いんだよ」とⅠさんが聞くと「Kの後ろに、おばさんがずっといるんだ。誰だろう?」と言う。
「誰もいないぞ」
「いや、いる。さっきもごはん食べてた時、すぐ後ろに立っていたよ」と怯おびえている。
翌朝、みんなが起きた時にはすでにKの姿がなかった。
担任の先生によれば、昨日K君のお母さんが亡くなったので、朝一番で帰ったのだという。