二階(大阪市城東区) | コワイハナシ47

二階(大阪市城東区)

女性記者のMさんは、生まれた時から大阪市城東区のマンションに住んでいる。

子供の頃、窓から見える隣の土地には木造二階建てが四、五軒連なった長屋がいくつか残っていた。

その長屋が、マンションの建設のために取り壊されることになった。

パワーショベルが入り、粉塵が舞い上がらないように水がまかれ、端の方から徐々に取り壊されていく。

ある日、マンションの窓から取り壊しを見ているうちに、長屋がなくなる前に中が見てみたくなった。

工事が休みの日、Mさんは友だちを誘って無人の長屋へ探検に入った。

人が住まなくなってまだ一年もたたないのに、もう、畳は腐ってボロボロになり、壁は崩れて床に積み重なるように落ちている。

二階も見てみよう。

みんなで階段を登り、先頭の男の子が二階の部屋に入ろうとして襖を開けた時だ。

うわっ、と声をあげた。

なに?

中をのぞくと押し入れの襖が倒れている。

その襖は宙に浮いているように見えた。畳の上に何かがあって、その上に襖が倒れているようだ。

その宙に浮いている襖の下から長い髪の毛が伸びている。

それを見て、人がいると思って驚いたのだ。

はじめは息が止まるほど驚いたが、何が起こるわけでもない。しばらくして少しずつ落ち着いてきた。

多分マネキンか人形か、いやきっと鬘(かつら)だよ、と別の男の子が部屋に入ってその髪の毛をつかもうとした。

その途端、畳の下から「むぉーん」と、はっきり女の人とわかる呻うめきとも声ともいえない音がして、その髪の毛がズルズルズルッと、襖の下に引きこまれていった。

絶叫して一斉に外へ飛び出した。

マンションに戻ってもみんな怖さで涙が止まらなかったという。

「いまだに思うんです。もし襖を持ちあげていたら……って」

Mさんは鳥肌を立ててそう語ってくれた。

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