未確認話(大分県) | コワイハナシ47

未確認話(大分県)

ある人物が、彼女と大分県で遊んできた帰りだった。

その日は中津市から宇佐市、そして別府市を経由するルートを選んでいたという。

温泉で有名な別府市に着いた頃にはすでに午後十時を過ぎていた。

予定を読み間違えたのだ。

仕方なく国道十号線に出て、別府湾に沿った形で大分市内を目指した。

すでに車通りもまばらだ。

途中、〈うみたまご〉という水族館を左手に現れる。

あーあ、ここも行きたかったけんが、と彼女がぼやいた。

今度また来ようと宥めながら通り過ぎる。

文句を言っていた彼女が、突然大きな声を上げた。

路上に何かあるのかと軽くブレーキを掛け減速する。

だが何も見当たらない。

何がどうしたのか訊ねると、彼女は助手席側の窓を指さして、こう言った。

「あれ、何やと思う……?」

別府湾の上に、丸い何かが浮いている。

大きさが分からないから、どれくらいの距離や高度にあるのか判断が付かない。が、そこまで遠くもなく、高くもないように感じる。

色は暗い朱色で、燃え尽きる前の線香花火に似ていた。

穏やかな海に、その光が眩しく反射していて、その物体が海面から確実に浮き上がっていることが分かった。が――。

(え?どうして?上にあるのはあんな暗い色なのに)

海面にある光の跳ね返りは白っぽい金色をしていた。

彼女も興奮気味に何かを捲し立てている。

あれは決して漁船の灯りや灯台などではない。

自分たちが見ているものが、尋常のものではないとすぐ理解できた。

スマートフォンで写真を撮るんだ!と叫んだとき、その物体はすーっと沖の方へ移動を始め、カメラアプリが起動し終える前に消え失せてしまった。

一時停車して、あれは何だったのかと車内で興奮気味に議論しあったが、もちろん答えなど分かるはずもない。

仕方なく大分市内のホテルへ戻った。

その夜、二人揃って熱を出した。

翌朝には完全に平熱に戻っていたが、どうしてなのどちらも顔の左側が酷くむくんでいる。正面から見ると輪郭が歪んで見えるほどだ。

大分県から出ると、元に戻ったという。

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