立ち飲み居酒屋裏の墓場(大阪府) | コワイハナシ47

立ち飲み居酒屋裏の墓場(大阪府)

JR大阪環状線の京橋駅近くにマグロで有名な立ち飲み居酒屋がある。

何でも最近動画配信サイトの「ストリート・グルメを求めて」という番組内で紹介されたとかで外国人客も増えている。

そんな立ち飲み居酒屋の真裏にあるのが蒲生墓地だ。大阪市内に残っている七墓のうちの一つで大変古い。

数年前までは誰でもいつでもお参りすることが出来たのだが、酔漢が墓石に小便をひっかけたりしていたせいか、蒲生墓地の入り口の扉に鍵が取り付けられて入れなくなってしまった。

「七墓巡り(ななはかめぐり)」とは江戸時代に大阪町衆の間で大流行した風習だ。お盆になると、大阪内にある梅田、南濱、葭原、蒲生、小橋、千日、鳶田の七墓を、町衆は友人や家族と一緒に巡ることを楽しんだものだったのだが、明治維新以後の近代都市化によって、墓所が消滅したことと、墓を楽しみながら巡るのは不謹慎だという声が上がり、いつの間か七墓巡りは消えてしまったそうだ。

しかし最近「七墓巡り」を復活させて大勢で楽しもうという活動を行っている人がいるらしい。インターネットで「七墓巡り」とキーワードを入れて検索すると、産経新聞の記事で「肝試しか婚活か…近松作品に登場する【大阪七墓巡り】現代人がはまるワケ」と出てきた。

そんな七墓の一つである蒲生墓地なのだが、墓所内には二百年前の六地蔵や、子供を産むように、いつの間にか自然と増えているという伝説のある子産石や、人二ハ―一と刻まれた墓石がある。これは、実は判じ物を刻んだ教訓墓で、「人には(芯棒=辛抱)が一番」と読み、人二ハ―一を一字にまとめると「金」という字になる。

お墓を建てた人が、子孫に対して「商売には辛抱が一番大事」という教えを説いたものだそうだ。

他にもどれかは分からないが、拝むと博打にご利益のある地蔵があるらしい。

そんな蒲生墓地の裏側にある立ち飲み居酒屋と墓場に纏わる話を先日、京橋駅近くの串カツ屋で聞いた。

その店は串カツ屋なのだが何故か名物が湯豆腐で、夏場でもよく頼んでいる人を見かける。私も卵や玉ねぎ、牛串なんかを頼んでから、季節を問わず締めにとろろ昆布のたっぷり入った湯豆腐の小鍋を頼むことが多い。

湯豆腐を食べる時に、醤油を渡すことをきっかけに私と話し出した中年の男性が、実は七墓巡りのイベントの主催者の関係者だと分かった。そして、話すうちにこんな話題が出た。

「あのなあ、七墓でもちゃんと残ってるのって蒲生くらいやろ。だから、大切にせなあかんのに、あの場所の近くで飲んでる人らは、墓になぁんの興味もないねん。でな、こないだ蒲生墓地近くで同僚と飲んでいたら〝俺はお前のご先祖様や〟って言う人が急に混ざって来てね、面白いおっちゃんやし、まあええかあってなって。そいでその自称〝ご先祖様〟がな、こっちは名乗っても無いのに俺の名前を言うてから〝今やってる商売大変やろ、でも〇〇との貸し倒れの回収分くらい直ぐ何とかなる。裏の墓石にもあるように、辛抱したら必ず金入るで〟ってアドバイスし出してん。ちょっと気味悪かったけど、携帯で仕事のメール打ち込んでる時か電話している時に横から見るか聞いたかして、そっから適当なアドバイスしてんのかなって、気にせんと気持ちよく飲んでてん。支払って京橋の中央改札口でその人とは別れて。それだけやったら、けったいな人に呑み代たかられたってだけの話なんですが、改札口で別れる前に自称〝ご先祖様〟に名前と連絡先を聞いたんです。もし後日、変な請求書や勧誘をこいつからされたら、連絡先を警察に伝えて通報したろと思ってね。そしたら名刺をくれてんけど、手書きで電話番号も住所もなく名前だけが書かれてて――。

それで去年ね、兄貴の住んでる実家に帰って、亡くなった親族の写真を見ていたら、その人が写ってたんですよ。名前も名刺に書かれとったのと一緒。偶然やとしても驚きました。でも幽霊でも飲み食い出来るもんなんかなっていうのが腑に落ちませんけどね」

そして、その人に「他にこの辺りで怖い話とかありません?」と聞いたら、先日発砲事件のあった○○組系列の入居者がいるという噂の某ビルが、京橋駅の中央改札口から出て五分程の場所にあるということを教えてくれた。

そこでは人が撃たれたり、撃ち殺されたりしたことがニュースにもなっていたので知っていたが、私はその場所を取材する勇気は持ち合わせていない。

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