幽霊列車 (大分県) | コワイハナシ47

幽霊列車 (大分県)

後藤文夫さんは、当時、独身で、大分県内の工場で三交代勤務をしていた。その夜は仕事が終わって帰宅したものの手持ち無沙汰で、明くる日が休みだったこともあり、午前一時頃に自家用車で出掛けた。大分駅の駅前に出来たばかりのネットカフェに行くつもりだったのだが、線路沿いの国道で車を走らせていたら、バックミラーに電車のライトのような二つの光が映った。

最初は小さく見えていたので、遠くから線路の上を電車が来るのだろうと思った。

ゆっくりとライトが近づいてくる。徐行運転をしているようだ。ずいぶん遅い。

辺りに人気もなく、車も一台も走っていない。こんな時間に電車があるのかと疑問を感じると、気になって仕方がなくなった。チラチラとバックミラーを確かめているが、なかなか追いついてこない。かと言って停車するわけでもなく、少しずつ追いついてくるようだ。

文夫さんは、じれったくなって車を停めて、外に出てみた。

電車の輪郭がおぼろげに見えてきた。先頭車両の前面に仄明るいライトが二つ──電車のライトはもっと眩しいものだと思っていたのだが、この電車のそれは光が弱々しい。

列車はやがて、文夫さんの目の前までやってきた。一〇両編成ぐらいだろうか。黒いボディの車両を幾つも連ねている。客車の照明が点いておらず、車窓の奥の暗闇に青白い火の玉が一両につき三つか四つ、揺らめいていた。

文夫さんは最後尾が前を通りすぎるまで呆然と眺めていたが、電車の音がまったく聞こえないことにハタと気づいた。震えあがって車に乗り、猛スピードで怪しい電車を追い越した。

しかし、二キロ先のトンネルを抜けたとき、怖いもの見たさがつのって、再び停車して電車が来るのを待った。

線路はまだ国道と並行している。待っていればまた現れるだろうと思っていた。

三〇分も粘ったが来なかったのであきらめて、なんだか疲れてしまったので、Uターンして家に帰って寝てしまったのだという。

二〇〇七年頃のことで、道と並行していた線路はJR豊肥本線だそうだ。

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