福山グリーンラインで消えた子供(広島県福山市) | コワイハナシ47

福山グリーンラインで消えた子供(広島県福山市)

現在は東京で会社員をしているS・Yさん。高校生まで福山市で暮らしていた。

広島県人会の皆さんで飲みながら、何となく昔行った心霊スポットの話が始まった。Sさんには誰にも話していない霊体験があった。

「やっぱ心霊スポット言うたら、福山グリーンラインのトンネルじゃ」

「そうじゃそうじゃ。けどわし、一回も怖い目にあわんわ」

「Sさんも行った事あるじゃろ。どうやった」

「わしは……そういえば……誰にも言えんかったことがある……」

30年近く前になるだろうか。

Sさんが大学生の頃、帰省した夏休みに友人10人、車3台で肝試しに行くことになった。せっかくなら福山グリーンラインの心霊スポットに行こうと。ここは県民も良く知る「出るスポット」なのだ。

誰も走っていない夜中の2時、トンネルの中に車3台を停め、エンジンを止めた。

ライトも消して真っ暗の中、しばらく様子をうかがっていた。

Sさんは3台目の車に乗り運転が担当だった。その車にはSさん含めて3人が乘っていた。

「何も起きんな」

「前の車に言いにいってくるか。帰ろうや」

Sさんと助手席にいた友人は車を降り、二人で前の2台に帰ろうと伝えに行った。車のフロントを叩く。

「Yじゃ」

「何じゃ、Y。なんかおったか?」

「なんも起きんみたいやから、帰ろう」

「そうだな、行くか」

そして車に戻り、二人が席に乗り込み、ドアを閉めようとした時だった!

閉めようとした助手席側のドアの隙間から、「白い雲のようなもの」がフロントガラス辺りからものすごいスピードで入ってきて横切った。

車の中にいた3人共

「うわあーーーー!」

と思わず声を上げた。

Sさんは車を急発進して、トンネルの外に出た。車を側道に停め、前の2台もそれに気づいて停まった。

「どうしたんじゃ」

「車の中にすごい雲みたいな白いのが入ってきたんじゃ、見んかったか」

「わしらの方はなんもなかったが……」

Sさんの車だけがその白い雲みたいなものを目撃したのだった。

それからどうやって帰ったか覚えてないほど、Sさんは家路を急いだ。

明け方家に帰りつき眠り、目を覚ますと、どうも体が重い。

熱を計ると40度を超えていた。それからは記憶がない。数日間うなされてやっと元気になった。一緒の車にいた他の2人は全くそんな症状にならなかったという。

後で全く別の友人に聞かされたが、1984年に子供が誘拐され、殺害された事件現場がこのトンネル辺りだったという。遺棄された遺体がこのグリーンライン沿いだったという。

そしてその亡くなった子供の名前が、S・Yさんと同じ名前だった。

Sさんはそれを聞いて再度背筋が凍りつくのを覚え、ここで起きた不思議な現象を伝えた。あの白い雲みたいなのは、その亡くなった子供の霊……。

そういえば、運転席のドアを閉めてしまったから、出て行けなくて……。

「お前の名前聞いて、自分が呼ばれたと思って遊びに来たのかもしれない」

Sさんはまたゾッとした。そしてあの熱の悪夢が続かないよう、ここで起きた体験は絶対に誰にも話さないようにしようと誓った。

記憶を消してしまった故か霊のいたずらか、同乗した他の2人の友人の顔も名前も思い出せない。どこでどうしてるのかさえ。

そこまでSさんは語り、グラスの酒を飲んだ。ひどく顔色が悪くなったように見えた。

「こうして話すとまた、熱が出るんじゃないかと思ってます」

そう言うと、トイレに立って行った。そのSさんの背中に小さな白い手が見えたように思ったのは気のせいだろうか。

そしてSさんとはしばらく連絡が途絶えている。

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