里塚霊園からの死の電話(北海道札幌市清田区) | コワイハナシ47

里塚霊園からの死の電話(北海道札幌市清田区)

市営霊園と火葬場が敷地内にある里塚霊園。

5、6年くらい前になるが、日奈さんはひどい体験をした。行かなけれよかったと今も後悔している。

20数年ぶりでの同窓会の帰り、男女4人で車に乗った。

よりによって運転する男子はやんちゃなまま40歳になった加藤。飲酒運転はよくないと知りながらも、ノリで乗り込んでしまった。

「肝試しいこうぜ」

興奮した顔でうなづくみんな。日奈さんは少し霊感があり、余計なものを見てしまうかもと不安だった。

「ここはな、電話ボックスから電話すると幽霊からコールバックされるってよ」

「やだあ。誰か行きなよ」

「俺やだよ。テレフォンカードも持ってねえ」

「小銭で掛けられるって」

なんて笑いながら走っていた。

霊園の周りをぐるぐるとまわる加藤。少し車酔いした日奈さんは、

「ちょっと、何周まわんのよ。何もないし帰ろうよ」

「……ああ、うん……」

加藤の生返事をよそに、車は敷地の脇で止った。

「ちょ、ごめん。気分わりい。吐いてくる」

「大丈夫かよ? ちょっと外出るか」

男女4人が車の外に出た。加藤は走って塀の影に行き、姿が見えなくなった。

真っ暗の中、墓地は何となく白っぽくもやがかかったように見える。白い墓石が闇に浮かんでるんだろうと思った。

その時携帯電話が鳴った。まだスマホでなく一般の携帯電話。

ちょっとギョッとして、通知を見る。非通知だった。

「非通知か……誰だろ」

夜中の2時だ。夫が心配して掛けてきた、いやそんな人じゃない。

取りあえず電話に出た。他の2人の男女は先を歩いている。

「もしもし……」

「……うううう……あづい……くるしい……」

背すじが凍り付いた。地鳴りのような声。とっさに、人間の声じゃない! と日奈さんは感じた。その時ふっと左肩に手が置かれた。冷たい手の感触。

そっと振り向くと髪の長い白い着物の女。顔は…とても見れない。

「誰! いや! 誰よ! いやー!」

思わず携帯電話を投げた。二つ折り携帯はいとも簡単にポッキリ折れた。

「日奈! どうしたの?」

女の友人が振り向いて走ってきた。でも、その目は日奈さんの顔でなく、日奈さんの肩の向こうを見ていた。彼女も見えたらしい。二人その場にへたりこんだ。

壊れた携帯を拾うと、3人は急いで車に乗った。

しかし運転手の加藤が帰って来ない。友人が電話をするが出ない。

1時間ほど経ったころだろうか。日奈さんは悪寒と体のだるさから、

「……加藤の事さあ、探すのもやだし、もう置いて帰ろうか」

「え? マジで言ってんの?」

「マジよ。誰か運転してよ。もうここに居たくない」

さっきまでの仲間意識なんか、恐怖の前にはもう無かった。同窓会で20数年ぶりに会ったって、深い友達でも何でもない。何でこいつらと一緒に来たんだ。

日菜さんは、残忍な面も持ち合わせていた。

誰も日奈さんの提案を断らない。男友達が黙って運転席に乘り、エンジンをかけて動かした。

その後は眠ってしまい、夜中3時半くらいだったか、家の前で降ろされた。

男友達が無表情だったのが少し気になったが。

次の日にはスマホに買い替えた。壊れた携帯電話はお店で回収してもらった。

家に戻ると、玄関先に誰かいる。

加藤がぼーっとした感じで立っていた。驚いて声をかける。

振り向いた加藤は顔に血の気がないように青白かった。

「置いていくなよ」

その血走った加藤の目にぞっとした。慌てて家の横にまわり、勝手口から中に入り、玄関のチェーンキーをかけた。加藤の目に殺気があった。

鍵穴から覗くと、まだ加藤の姿があった。

どうしよう……昨日の友達に電話しなきゃ! とスマホを見るが、新規のに変えたから番号がわからない。その前に、昨日再会したばかりだから元々知らない。

またバッグから電話の鳴る音がする。非通知だった。無視しつづけるが、何度も鳴る。恐る恐る電話に出る。

「もしもし……」

「……日奈さんですか?」

「は、はい……」

「私よ、昨日さ、日奈降ろした後、やっぱ探しに行ったんだよね、加藤の事」

「……」

「霊園のとこには見つかんなかった。ヤバいかなと思って……」

「え、私さっき会ったよ……」

話しているうち、リビングにある大きな鏡に目がいった。

「うわ! いやー!」

鏡には部屋中に人が映っていた。中には肉片だけがついた骨のような人、腕がない人、首のない人、白い着物の女性……加藤もいるように見えた。

「みいつけた」

日奈さんの肩をポンと叩く冷たい手……放心状態で日奈さんは振り向いた。

加藤は霊園から歩いて帰るうち、車にひき逃げに遭い、亡くなっていたそうだ。

なぜか遺体が相当ひどい状態で見つかったという。野犬にでも食われたか。

日菜さんは今、自律神経失調症と判断され、家から出る事ができない。毎日いろんな性格の人間になってしまうそうだ。ご主人も怖くて家を出た。

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