首が重い(沖縄県) | コワイハナシ47

首が重い(沖縄県)

沖縄でスピリチュアルカウンセラーをされている大橋さんのもとには、いろんな人が訪れる。大橋さんは本土生まれの女性で、小さい頃はまったく「視えない」「聴こえない」人だったのだが、ある時久高島を訪れた時から、彼女の人生は一変することになった。

そのくだりは別のところでお話しするとして、つい最近彼女からこんな話を聞いた。

ある時カウンセリングに一人の陰気な若い女性がやってきた。名前を聞くと仲村渠と名乗るその女性には、どうみてもいろんなものが憑いていた。特に首のあたりに。

「仲村渠さん。首って気になりません? 良く凝るとか、痛くなるとか」

「はい。実は眠れないくらい、首が痛いんです。何かあるんでしょうか?」

大橋さんは意識しないでふと彼女の首を見たが、明らかにそこにもう一人の女性の頭部が乗っかっていた。向かって左側の首の根元から、パーマをかけた小柄な女性の頭部がにょきっと生えている。まっすぐ焦点をあわせると見えないが、角度を変えて、横に焦点を合わすとそれがはっきりと見える。

「肩が凝るんです。病的なまでに」

「そりゃそうでしょう」と大橋さんは思ったが、口には出さなかった。そこで、レイキを送ってみたが、その首はびくともしない。女性の顔には髪の毛がかかっていて、決して顔をみせようとはしない。そのかわり、口だけが見えて、ぺちゃくちゃと何かをいうのだが、言葉としては聞こえてこない。

「パーマをかけた女性の顔が見えるんですけど」と大橋さんはあたりさわりのない事を言った。

「昔、知り合いが自殺したんです。でも彼女、鬱病だったみたいで」と女性がいう。

「親しい知り合いだったんですか?」

「それほどでもありません。ビジネス上のパートナーだったんですが、仕事に疲れて自殺してしまったんです。彼女が私に憑いているってことですか? 嫌です、気色悪いです。先生、今すぐ取ってください。なんなら緊急料金ということで二十万払います」

「仲村渠さん。緊急料金なんてありませんよ。それに二十万は高すぎです」

「でも取ってください」

「やってみますね」

そこで大橋さんは首の付け根にいる彼女とコンタクトを取ろうと試みた。だが何をいっても通じない。かわりに相手からは、失望と憎しみと悲しみしか伝わってこない。

「一体彼女との間に何があったんですか?」

「何もありません。彼女、仕事に疲れて鬱病になって自殺したんです。それだけです」

するとその時だった。仲村渠さんにひっついている首がいきなり喋りだした。

「この女に騙されてネットワークビジネスに入ってから借金して、男も取られた。自分のラインにいるメンバーもぜんぶ引っこ抜かれた。私はパートナーだったのに、あげくのはて私が鬱病で入院しているときに彼氏も奪って、私の預金通帳も全部引き出してしまった。なので人生が嫌になって自殺した。うらめしい。呪い殺してやる。いつまでもはなれるものか」と聞こえた。

女が喋り終わると、仲村渠さんは悲鳴を上げて「この声はどこから聞こえるの? もういい加減にしてちょうだい!」といって叫びだした。

と、次の瞬間、首の女性が仲村渠さんの方を睨みつけながら「わたし、はなれないからね」と低い声でいうのが聞こえた。

仲村渠さんにその声が聴こえたのかどうかはさだかではない。彼女はお金も払わずに一目散に部屋から出ていった。そして二度と戻ってこなかった。

おそらく彼女は今でもその首をつけながら、生活しているのだろう。

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