すべての終わり 黒魔術に関する話 その六(沖縄県) | コワイハナシ47

すべての終わり 黒魔術に関する話 その六(沖縄県)

黒魔術に関する話 その六

えりこさんとジョナサンは、その後英語のできる弁護士を仲介して離婚手続きを行った。えりこさんは精神にダメージを追ってしまい、南部の病院でしばらく療養した後、母親と一緒に実家で暮らすことになった。

山城さんは、そんな彼女のために、シャコガイを組み合わせたお守りをえりこさんのために作ってあげた。シャコガイはスイジガイ、ほら貝とあわせて、沖縄では魔よけとして重宝されてきた。山城さんは念を込めたシャコガイの貝殻を一つえりこさんにわたして、こういった。

「これに一ヶ月間、毎日水をいれて、その中に何でもいいからお花を一つ、浮かべてあげて、お花とお水は毎日変えてあげて。そして日当たりのいい場所に置いておくこと。そうすることによってあなたの運気も上昇するし、悪い気も徐々に離れていくから。いいわね」

えりこさんは素直にうなずいた。そして一ヶ月間、かかさずに、ジャスミンやハイビスカスの花をシャコガイの上に浮かべた。

離婚が成立してしばらく経ったある日のこと。何ヶ月ぶりかでジョナサンから電話があった。もし母親が電話に出ていたらすぐに切っていただろうが、その日はたまたまえりこさんが受話器を取ってしまった。電話口でジョナサンは復縁したいと言ってきた。

「ドイツに転勤することになった。お前も一緒に行って欲しい。お願いだ」

「できないわ。もう離婚したのよ。ごめんなさい」

「どうしてもか?」

「ごめんなさい。できないわ」

「他に男ができたのか?」

「それは違うわ」

「嘘つきだ!」

「嘘じゃないわ」

ジョナサンの声は最初は優しかったが、次第に激しい口調と、英語の猥雑なののしり語が頻繁に入ってきた。最後の方は、えりこさんも理解できない、悪魔の話になっていったという。

「お前をいつまでも追いかけてやる。偉大な方がお前を迎えに行く。お前は永遠に俺の奴隷だ」

そこでえりこさんは受話器を置いて、すぐさま電話線のジャックを抜いた。

とたんに、ドシーンという鈍い音が家中に響き渡った。まるで隕石でも落ちたか。遠くで不発弾が爆発したような、そんな感じの音だった。

ふと居間を見ると、お花を浮かべていたシャコガイが真っ二つに割れて、その下のタンスに水がポタポタと滴り落ちていた。

なぜかそのときえりこさんは、「これで終わりなんだ」と感じたという。

それからはジョナサンからは何の連絡もなく、えりこさんは今でも母親の実家で無事に暮らしている。信仰はしていないが、ときおり大城牧師の教会にも行くことがあるそうである。割れたシャコガイは、今でも山城さんの家にあり、玄関横の花壇のしきりのひとつになっている。

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