山城さんの話 黒魔術に関する話 その三(沖縄県) | コワイハナシ47

山城さんの話 黒魔術に関する話 その三(沖縄県)

黒魔術に関する話 その三

次の日、山城さんという女性がえりこさんのもとを訪れた。彼女はユタではないが霊感のある女性で、えりこさんの母親と同級生だった。山城さんはえりこさんの母親から直接話を聞き、なんだか胸が「ワサワサ」したのだという。

えりこさんの母親が山城さんに連絡を取ったのは、彼女の霊力のせいもあるが、現在はプロテスタントの教会に通っていて、キリスト教の知識が豊富だったからだ。えりこさんの母親は、娘の背後にいるのは日本の悪霊なんかではなく、キリスト教に関係する悪霊だと見当をつけていた。そのため山城さんの力を借りようと思ったのだ。

霊能者としての山城さんのスタンスは、まず相談者の背後にいる守護霊と話をすることからはじまった。山城さんには守護霊の姿が見え、そして話ができるという。

その日の昼間、えりこさんのマンションに三人が集まった。山城さんはえりこさんそのものよりも、室内装飾として飾られていた様々なものに、悪意のようなものを限りなく感じたのだという。

まず逆さに張り付けられている十字架。

腐ったにおいのするまま放置されているほら貝の殻。

髑髏のデザインの壁画。

アレイスター・クロウリーの額写真。

その他、山城さんが見たくもないと思っているゴシック風の装飾品の数々などが、ドレッサーの上などに置かれてあった。中でも、赤いペンキが塗りたくられた一個の大きなほら貝が、山城さんの気分を悪くさせた。触るのも嫌なくらい、独特の霊気のようなものを発していた。

山城さんはえりこさんと面と向かって座り、まず彼女の守護霊と話をすることにした。

山城さんは普段なら、誰の守護霊とでも、気楽に会話ができたのだというが、その日は少し様子が違うようだった。山城さんがいくらコンタクトしようとしても、えりこさんの守護霊からは、かすかな声しか聴こえてこなかった。

「すべては経験」

それしか、聴こえてこなかったのだという。

山城さんは、今度はジョナサンの守護霊とコンタクトを取ろうとした。

しかし帰って来たのは、次のようなイメージだった。

汚濁の中でのたくっているミミズ。廃墟。死体。アンチ・キリスト。

山城さんは、ジョナサンの守護霊とコンタクトをするのをやめ、もう一度えりこさんの守護霊へと意識を戻した。

「こんにちは。わたしは山城と申します。現在はキリストに仕えておりますが、えりこさんに関わっている邪悪なものから、彼女を救いたいと母親から依頼を受けました。今の彼女に何が必要なのでしょうか?」

答えはかすかではあるが、すぐにあったのだという。

「離れなさい。そう伝えなさい」

山城さんは、守護霊から受けた答えをそのままえりこさんに伝えた。

「すぐに夫と別れなさい。それしか道はありません」

えりこさんはうつむいたまま、小さな声で答えた。

「嫌です。私はジョナサンと別れるつもりはありません」

「それはどうしてですか?」

「嫌です。別れるくらいなら死んだほうがマシ」

どうやらえりこさんは深い意識のどこかで催眠のようなものをかけられている。山城さんはそのように感じた。

山城さんはえりこさんの身体にとり憑いている邪悪なエネルギーを感じたので、それを断ち切ろうと自分の意識を再び彼女に向けた。するとまた、溢れんばかりの映像が、彼女の脳裏に流れ込んできたのだという。

それは言語を絶する、ありとあらゆる残酷極まりない映像だった。その中にはえりこさんとジョナサンに関する前世の情報も含まれていたようだったが、あまりにノイズが大きすぎて、山城さんの力では解読できなかったそうだ。

「あなたとジョナサンは前世でも夫婦だったみたい。でもね、それは決していい関係ではなかった。そう見えるのね。そしてジョナサンの背後にいるのは、決して触れてはいけない邪悪な存在なの。あなたはそれに影響されて、おかしくなってきている。だからそれから今すぐに離れなければ、いい人生を歩むことはできないの。それがあなたに理解できるかしら?」

えりこさんはそれを聞いても、無表情だった。ジョナサンと別れるくらいなら、死んだほうがマシ。この言葉にすべてが集約されているようだった。

結局山城さんはその日、自分の無力さを思い知らされながら、家に帰っていった。

「あなたの力になれなくて、申し訳ないわ」帰り際、えりこさんの母親に山城さんはそういった。「でも一人だけ、頼りになる人を紹介するから。この人はうちの教会の牧師なんだけど、彼もまたユタだったの。この人に一度見てもらいなさい」

そういって彼女は一人の牧師の住所を母親に手渡した。

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