一家惨殺 欠番の家(東京都練馬区) | コワイハナシ47

一家惨殺 欠番の家(東京都練馬区)

世間を騒がす陰惨な殺人事件が起きた場所に、新しく住宅などを建てた場合、事件当時の番地を欠番にした例があるそうだ。

以前、練馬区のとある賃貸住宅に住んでいたスーパーマーケット店員の臼井さんが、自分のうちがあった場所で一家惨殺事件が起きていたことを知ったのは、数々の霊現象に悩まされたあげくに引っ越した後のことだった。

欠番になった土地に居たのは一〇年以上前の三ヶ月間にすぎないが、「最初から知ってたら住まなかった」と臼井さんは今でも憤慨している。

引っ越した日から、勝手に電気が点ついたりテレビのスイッチが入ったりといった電気系統の誤作動が頻繁に起きた。初めは気にしていなかったが、住むようになって一週間しないうちに悪夢にうなされるようになった。

その頃はまだ臼井さんには子供がなく、夫と二人暮らしだった。連日ひどくうなされるのを夫は心配し、どんな夢を見ているのか聞きたがった。しかし話そうとするそばから臼井さんは夢の内容を忘れてしまう。三回ぐらいそんなことを繰り返した。

四回目に悪夢を見たのは六月下旬のことだった。

臼井さんは夢の中で知らない人の家にいた。見たことがない家具やカーテンだが、夢ではそこは臼井さんの家だった。食事の準備をしていると、夫が一歳ぐらいの男の子を抱っこして食卓の上座に着いた。そこへ小学生ぐらいの女の子たちも加わった。少女たちは面差しが似通っていて、姉妹だということが一目でわかった。

「普通の一家団欒というか……。たぶん朝食の風景です。でも私は台所で料理をしながら泣いていて、包丁やまな板や流しの中が血で真っ赤なんですよ。排水溝が詰まってるんだわと思って蓋を開けると、ピクピク蠢めく内臓のようなもので一杯になっていました」

臼井さんが夢で悲鳴をあげた直後に、夫に肩を揺すられて目を覚ました。そのとき、女の子たちが楽しそうにお喋りしている声がダイニングキッチンの方からはっきりと聞こえてきた。

臼井さんは「あっ、夢で見た子たちだ!」と夫に言って、見に行ってもらった。

夫はすぐに顔を引き攣らせて戻ってきて、寝る前に消したはずのダイニングキッチンの電気が点いていて、なんだか生ぐさい臭いがしたと臼井さんに報告した。

「そのときから夢で見たことを朝になっても覚えているようになって、盛り塩をしたり、神社でお札をもらってきたりしても効果がなくて、私は精神的に参ってしまいました」

当時、臼井さん夫婦は二人とも三〇そこそこで貯金も充分ではなく、引っ越してきたばかりでまた引っ越すことを当初はためらった。臼井さんは週末ごとに実家に泊りがけで帰るようになり、夫は土日を一人で過ごすことが多くなった。

お盆休みに夫の田舎に帰省することになっても、出立前日の朝も、臼井さんは自分の実家にいた。旅行の準備も要るし帰宅してあげなければいけないと思いながら両親と朝食をとっていたら、夫から電話が掛かってきた。

「今、トイレに血まみれの女の子たちがいた!」

目が覚めて小用を足そうと思ってトイレのドアを開けたら、全身血まみれの少女たちが並んで立っているのが見えたそうだ。

臼井さんが、その場所で一歳から九歳までの子供三人と四〇代の夫婦が惨殺された事件が起きていたことを知ったのは、住居を引き払った後のことだった。

引っ越した途端に怪異に悩まされなくなったことを夫が怪しみ、インターネットで調べて、八〇年代に一家惨殺事件があったことを突きとめたのだという。犯人は殺害した五人の遺体をバラバラに解体し、内臓は料理用のフードプロセッサーでミンチにしてトイレに流した。世間を騒がせた凶悪事件だったので、探せばいくらでも情報が出てきた。

自分たちが住んでいたのが間違いなく事件が起きた家があった土地だったことや、番地が欠番になっていることも、夫婦で確認した。

「それでストンと腑に落ちたんですが、まだ続きがあって。その後すぐ私は妊娠して立て続けに子供を生んだんですけど、上が女の子二人で、下が男の子なんですよ。だから殺された子たちが生まれ直したかったのかな、なぁんて……ありえませんよね。ただの偶然ですよね?でも、あんなところに住まなかったら、子供たちの顔を見るたびに夢で見た状景を思い出してしまうこともなかったんだと思うと、本当に腹が立ちます」

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