TO THE LIGHT 顔なき子(北海道札幌市北区) | コワイハナシ47

TO THE LIGHT 顔なき子(北海道札幌市北区)

Yさんの体験はまだ続く。

まだ10月なのにひどく冷える日。上着を肩にかけて、ジムからの帰り道。

夜中12時近くで踏切も上がりっぱなし、人気のない時間帯だった。

「キイーキイー」

自転車をこぐような音がする。

音の先を見ると、電柱があり、そこに一輪車に乗った子が背を向けていた。

電柱の下だけしか明かりはなく、その光の中をゆっくりとこいでいる。

くる、くると電柱の周りを器用にまわる。

小学4年生位だろうか?

こんな時間に何でいるんだろう? 親は? とか思って通り過ぎる。

ちらっと顔を見てみた。

女の子は顔が無かった。輪郭だけで、真っ黒ののっぺらぼうだった。

Yさんは叫ぶこともできず、怖くて走った。追いかけて来られないように。

「キイーキイー」

一輪車のこぐ音だけが背後に響く。遠ざかるまで、走り続けた。

その道は深夜には通らないことに決めた。

十数年前、幼女連れ去りの事件があった。

親が育児放棄し家に戻らず、深夜のコンビニに捨てられた弁当を拾いに出かける小さい子達がいた。雪を溶かして飲む子もいた。

寒くて、電気も止められて、明るい場所に行きたくて集まる子供たち。

でも、人知れず、あの子は誰かに連れられていっちゃった。

その女の子は一輪車に乗るのが好きだった。それだけが、最後にもらった親からのプレゼントだったから。

シェアする

フォローする