生き埋めの車からの恐怖の叫び(札幌市北丘珠豊栄橋) | コワイハナシ47

生き埋めの車からの恐怖の叫び(札幌市北丘珠豊栄橋)

「お前の親殺せないか?」

24歳だったYが女子大生だった19歳のMに話を持ち掛けた。

Yはイベント会社の社長だったが、放漫経営で行き詰まり、多額の借金を抱えていた。

一方、父親が北海道の道庁職員の娘だったM。二人は同棲し始めた。Mは生活のためにホステスをしていた。

同棲先を突き止められ、Yは焦った。自分の生活と借金返済はMが支えている。

そしてYには4人の人妻との関係があった。金が必要だった。

人妻たちにも色気で迫り、それぞれの夫を保険金殺人しないかそそのかしていた。金と欲の化身だったYには人として大きな何かが欠けていた。

得体のしれないヒモ男のYに両親は激怒する。

一度、同棲している場所を突き止め、Mを取り返しに行こうとするが、若いMはYの特別な魅力に憑りつかれていて奪還できなかった。

家に来られた以来YはMの父親を異様に嫌うようになった。元々自分を否定する人間を葬りたいという猟奇的な部分があった。

11月22日の夜。Mは一度親の元に戻ると言って、実家の両親と食事をする。更生した風のMに気を許した両親は、お茶に睡眠薬を混ぜられても気づかない。

Yは彼らが昏睡した深夜に持っていたナイフで、父親と母親を刺した。

血液が飛び散り、無残な遺体が2つそこに転がった。それを引きずり、両親の車に乗せた。運転するのはY。Mは呆然と呟く。

「お父さんとお母さん、本当に殺しちゃった」

YはMの腕を握り答える。

「お前は俺のもんだ。俺達の愛を邪魔する奴は、親でも殺す」

「うん……」

「だからお前も俺を裏切るなよ? 俺の愛に応えられるよな?」

「わかってる……」

「俺をバカにしたらこうだ」

Yは川の近くの空き地に車をとめ、積んできたガソリンを車内の2遺体にかけた。Mは息を飲んで見ている。穴のようなくぼみに置いた車はメラメラと燃え始める。

深夜に通るような人がいないのも遺体発見が遅れた不幸だった。

Yは狂ったように、燃え尽きた車に向かって湿地の泥を車に掛けた。車ごと生き埋めにしたのだ。

その後、両親の自殺を装いMは生命保険を受け取る。もちろんそれがYの懐に入ったのは言うまでもない。しかし悪運もそこまでだった。

約2か月後、車が発見され遺体が見つかる。あまりに損傷がひどく最初は誰だかもわからなかった。そして、すでに行方不明の時点でマークされていたのだろう。遺体発見の夜には、YとMが逮捕された。

YとMはついに両親の望み通り、別れることができた。

近くを流れる豊栄川にかかる橋がある。

そのあたりに妙な噂が流れだした。

「カーン、カーン」

深夜に豊栄橋を渡り、橋のたもとの湿地帯の近くに行くと、金属を叩く音がすると。

刺され、焼かれ、土に埋められ、潰され、その恨みと魂の怒りは、死を越えて自分たちの居場所を伝えようとしていたのか。その音はまるで、車を金属棒で叩くような音だったという。

事件が明らかになった後もまだ、その怪現象は続くという。

YとMは無期懲役になった。

二度と二人が出所後にも会わないよう、亡くなった両親は威嚇の音を消さないようにしているのかもしれない。

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