落ちたら浮いてこない死の骨の湖(北海道千歳市 支笏湖) | コワイハナシ47

落ちたら浮いてこない死の骨の湖(北海道千歳市 支笏湖)

支笏湖(しこつこ)。

死骨湖と呼ぶ人もいるほど自殺者や事故で亡くなる人が多い。

そして、なかなか浮き上がって来ないという。通常水死体はガスを含むため、膨れ上がって水面に浮かぶ。

その理由は、底にある藻が絡みつくからだといわれる。

とあるライターの友人からこんな話を聞いた。

10年ほど前だったか、雑誌のコーナーで人探し企画があった。

行方不明になった家族の行方を捜すというドキュメンタリーで、霊視できる先生や霊媒師に答えを言ってもらう、インタビュー形式の内容だった。

最近はテレビ番組などでもリアル公開でやることが多いが、その走りの出版企画だった。

自殺と決まってるわけではないが、遺書らしいものがあった行方不明者を探すというものだった。生死まで霊能者に視てもらう設定だった。

行方不明になったのは、その家の大黒柱だった50代のご主人で、娘と息子が20代、妻と妻の父母が同居した、一般的な家庭だった。

奥様に話を伺うと、泣きながらご主人が居ない寂しさを語られる。

奥様の親御さんも、「いい婿だった」と涙ぐむ。

大学生と社会人の娘と息子も、しっかりした口調で頼もしい。

「ご主人はこんなにいい家庭をお持ちで、早く見つかるといいですね。事件に巻き込まれていないか心配ですが」

「はい、生きてさえいればそれでいいと、今は思っています」

奥様も泣きながらうなづいた。

霊視できるB氏と霊媒師C氏が家の中を見る。

家族がじっと二人を見つめる。

その重い空気感が異様な緊張感を出していた。

「わかりました。ご主人は支笏湖の底にいます」

B氏、C氏がうなづいて答えた。

家族は涙を流し、やはり生きてない……という悲しい空気感になった。

私も半信半疑で支笏湖へ向かった。

ご主人が飼っていた柴犬のメリーを連れて行くことになった。ご主人にしかなつかないので、檻に入れていると答えた。

B氏がメリーを檻から出す。随分痩せていた。

「メリーにごはんあげてます?」

唐突にC氏が聞いた。

その言葉に奥様の顔つきがガラっと変わって

「あげてますよ!」

と荒々しく答えた。さっきまでの上品さがなく、少し驚いた。

メリーは吠えると言っていたが、B氏の膝で静かにしていた。

湖のそばに着いた。桟橋のような場所がある。広くて深くて、こんな湖の底に落ちたら、浮き上がったとしても見つけてもらえるだろうか……と思うような場所だ。

そこでメリーが急に吠え出した。

ついてきた奥様が、コラっとメリーを叩く。余計メリーは吠える。

「犬は嘘つきませんよ」

B氏が静かに言った。奥様はまた怒り、もうこんな企画には乗らない! と言い出した。亡くなったのならそれで警察にも連絡するし! と。

いわば半狂乱のようだった。

B氏が私を引っ張って奥に連れて行った。

「この企画、難しいかもしれません」

「……そうですよね。こういう家族のプライバシーを暴くような事は……」

「そうじゃなくて」

B氏は耳打ちした。

「このご主人、家族全員に刺されて殺されてます。バラバラになってこの湖に捨てられてますよ」

背筋が凍り付いた瞬間だった。

あのできた家族が、まさか……。どうりでご主人の犬が家族になつかない訳だ。

その後すぐに警察に情報提供はしたが、死体が上がらないので証拠不十分となったが、家族はマークされていると思う。

企画も、B氏とC氏が見破る内容はとても本にできるレベルでなく、本人達も真実を視る方が精神的に辛いという理由で、ボツになった。

2年ほど前にその家族の家の近くを通ったが、表札の名前が変わり、住んでいる人も変わっていた。

あの家族を訪ねたが、奥様の親御さんがやっていた自営業が傾き、夜逃げ同然でいなくなったという。

ご主人を殺した保険金だけでは足りなかったのだろうか。

そしてもう一つ、この家に越してみたら、ある部屋だけ水回りが悪いのか、水浸しになると言っていたという。

それがご主人の部屋なら出来過ぎた話だが。

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