自殺ホテル(北海道札幌市) | コワイハナシ47

自殺ホテル(北海道札幌市)

ホテルで自殺を図る人は多い。一人になった瞬間なのか、一人でいて気が滅入るのか、それともそんな気にさせる霊気でもその部屋のあるのか。

有名なのは政治家の中川一郎が札幌パークホテルで亡くなった時の話。

バスタブに浸かり、ドアノブにタオルをかけて首を吊っていた。

吊るというより、首を引っかけた状態で亡くなったのだった。

今なら変死の扱いだろうが、解剖もなく、2日後には火葬したというからそれもミステリーといえよう。

彼は北海道の北方領土返還に対し、強気でいたがサンフランシスコ講和条約上、できないことを何とかしようとしていたといわれる。どこかの国が動いたか、近親者かと疑いもあったが、圧力があるのか誰も噂しなくなった。

とにかく誰も予想しない突然の自殺だった。

北海のヒグマと言われた男だったのに。

同じく札幌の別のホテルの従業員だったKさん。

宿直で寝ていた時、けたたましい内線のベルで起こされた。

「この部屋は幽霊が出るだろ! 変えてくれ!」

ちっ、まただ。急いで部屋に向かう。

ドアを丁寧に開けると、混乱した初老の男が寝間着のまま飛び出てきた。

「部屋でテレビ見てたら、時々消えて、画面から女の顔が出るんだよ!」

Kさんはため息をついて、部屋を変更した。

ちらりと開いている洋服掛けのドアを見る。男は背広やらバッグやらを掛けていた。

そしてその横に首を吊った女がいた。

ああ、またこの洋服掛けに別のがぶら下がってるな……。

「お客様、洋服掛けには洋服だけを掛けて下さい。鉄棒が曲がりますから」

お客が変な顔をした。

以前この洋服掛けの鉄棒に浴衣の紐を掛けて首つりをした女がいた。

洋服掛けの鉄棒がV字にぐにゃりと曲がって吊るされていた。

その後片付けをやらされて、同期の女子はトラウマで辞めてしまった。

Kさんは霊感はないが、この部屋に入るたび、あの女の死の形相と体液で汚れた絨毯を思い出す。

だから、よくあの首つり女の幻を見るそうだ。

あれから浴衣の紐つきの寝間着は出さないことになっていた。首を吊るから。

まだ絨毯はシミが残っていた。

その客は、隣の部屋に移動してもらったが、まだ宿泊部屋として使っている。

別の部屋でこんなことがあった。

実はそこも、ある倒産した会社の社長が自殺を図った部屋。

ホテルにはマニュアルがあり、満室にならなければその事故部屋は入らせない。ただ、オーナーが変わってからは、売り上げ至上主義でその部屋も宿泊部屋にすることになった。

10回に8回くらいは「変なうめき声が聞こえる」「夜中にドアを叩く音がして出るといない」などKさんからみたら「霊障だろ」と思う苦情が多かった。

その部屋である政治家が亡くなった時も俺は宿直だった。

11時のチェックアウトになっても出ない。お昼を越えたので、支配人と一緒に部屋を訪ねた。

ノックをしても部屋の電話も一切出ない。

部屋を開けた。

入ったとたん、血の匂いがした。あの時と同じだ。

支配人が隣で吐きそうになって、部屋を出た。

壁中に血の手形が付いている。

そしてその下に、腹にナイフが刺さったお客が倒れていた。

ベッドから何から、血の海だった。

やっぱりだ。前に死んだ会社社長と同じ死に方だ。

Kさんはあまり驚きもせず警察を呼んだ。

死因は切腹自殺だった。

これをやるとあまりの痛さに死の間際までのたうち回るのだという。

血の手形が壁中に付くのはそのせいだった。

また壁紙を変えなきゃいけない。他の部屋と同じピンクの壁紙はなかったので、その部屋だけは水色の壁紙になってしまった。

それでもKさんの目には、手形がいくつも浮いて出るように見えるという。

ホテルに色の違う壁紙の部屋があるときは要注意だとKさんは語る。「塗り替えた過去」はそれでも霊となって幻を見せることもあるが。

呪われた部屋は同じ不幸を繰り返す。

それは、そんな気にさせる霊が待ち受けていることもあるから。

シェアする

フォローする