タクシー運転手の話(東京都 青山霊園 広尾) | コワイハナシ47

タクシー運転手の話(東京都 青山霊園 広尾)

「怖い体験ですか。本当にたまぁに、ですけど、辻褄が合わない奇妙な出来事に遭いますよ。別に霊感があるってわけじゃないと思いますけどね。聞きたいですか?

じゃあ、話します。ちょうど今通り過ぎた、青山霊園の公衆トイレ。乃木坂トンネルと根津美術館の間の道路脇にある、あそこで遭ったことです。

夏の盆の入り頃、夜中にラーメン屋のある交差点から墓地の中へ坂道を上りだしたところで四、五〇代の男性を乗せたんです。そしたら、いくらも走らないうちに、トイレに行きたいからちょっとそこで降ろしてくださいって言うから、降ろして、待ってたんですけど、なかなか出て来ないんですよ。

一〇分以上、車の中で待ちました。トイレの出入り口をずっと見てましたから、出てきたらわかるはずです。でも、一向に出てこないわけですよ。

これはトイレの中で急病で倒れちゃったか、そうは見えなかったけど実はひどく酔っ払ってて眠っちゃったかしたかな?

そう思って、車を降りて、公衆トイレに入ってみたんです。「お客さん、大丈夫ですかぁ」って声を掛けながら。返事がないから、個室も全部、覗いてみました。

でも、誰もいませんでした。どこにも行けるわけがないのにね。消えちゃいました。

それから、こんなこともありました。

広尾の日赤医療センターの前で、女性のお客さんを乗せたんです。

昼間でした。割と綺麗な、いいとこの奥さん風の女の人。銀座へ行ってくれと言うから、銀座へ行って、降ろしました。ちゃんとお代を頂戴して、変わったことと言えば行き先を言ったきり口をきかなかったことぐらい。だけど、そういうお客さんもいますから。

でもね、そこから五〇メートルも進まないうちに、今降ろしたばかりの同じお客さんが、道端で手を挙げて停めようとするじゃありませんか!

驚きましたよ。当然、車の方が人より速いんだからそんなはずないんだけど、先回りして、また乗ろうとしてるとしか思えない状況でした。似てるってレベルじゃなく、寸分違わぬ姿なんですよ。匂いまで一緒でした。病院の匂いって言えばわかります?消毒薬臭かったんです。ええ、お乗せしましたよ。……日赤医療センターまで。今度もお金はきちんと戴きましたが、しばらく匂いが車に籠もって弱っちゃいました」

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