浜町スタジオの足音一(東京都中央区浜町) | コワイハナシ47

浜町スタジオの足音一(東京都中央区浜町)

引き続き木林さんの逸話。当時、中央区日本橋にあった東京テレビセンターの浜町スタジオで一九八八、九年(昭和六三~平成一)にテレビCMを収録している際に、音声さんが雑音が入ったと言って何度も録り直すという出来事があった。

木林さんは当時プロデューサーに昇格して間もない頃だった。

会社の先輩たちから「浜スタの画のスタジオは出来るだけ使うなよ」と忠告されていたが、師走の忙しい折でもあり、このCMに起用した「超」がつく売れっ子男性アイドルタレントのスケジュールと、サイケデリックなCGの背景を合成するので「白ホリ」があるスタジオを使いたいという両方の都合に合わせると、浜スタを使う以外に選択肢がなかった。

白ホリとは、白いホリゾントの略で、白い壁と床の接合面をアールで繋げて境目が分からないようにした撮影設備のことだ。浜スタの撮影スタジオでは、白ホリの後ろに通路があった。この通路の方から物音がすると音声さんがワンテイク目で訴えた。同録(音と映像を同時に採録すること)なので余計な音が入れば撮り直すしかない。

木林さんは白ホリの後ろの通路の出入り口にスタッフを立たせて、人が通らないように見張らせることにした。ところがツーテイク目では、音声さんは、「さっきよりはっきり聞こえる」と顔を引き攣らせて言った。そこで、通路の出入り口を両方ともカポックなどで塞いでみたところ、スリーテイク目からは余分な音が入らず、無事に収録できた。

この録画の編集作業中、木林さんは、ふと、NGになったワンテイク目とツーテイク目の「雑音」とはなんだったのかが気になり、休憩時間中に確認してみた。

ワンテイク目では、確かにゴトゴト何かが鳴っているものの、なんの音だかわからなかった。ツーテイク目を聴いて、木林さんはたちまち背筋を凍らせた。

──タッタッタッタッ……。

走る人の足音がはっきりと録音されていたのだ。ホリゾントの後ろを繰り返し繰り返し、何者かが駆け抜けているとしか思えなかった。

「その後、先輩と吞んだときにこの話をしたら、そんなことは珍しくないという反応が返ってきて、浜スタにはアナ・ブース(ナレーション録りをする設備)で録ると変な声が混ざるとか、他にも怪奇現象が起こる場所があると教えられました。テレセンの場所で昔、何かあったんじゃないですか?川奈さん、調べてみては如何いかがです?」

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