トランプ城(茨城県水戸市天王町) | コワイハナシ47

トランプ城(茨城県水戸市天王町)

高校を卒業したばかりの頃、原田さん達はここに肝試しに行く事になった。というのは、天王町に行く口実。帰りに大人の見学にでも行くっぺ! と大はしゃぎでここにやってきた。霊感がある友達のSが一緒だった。Sは普段でもよく霊を見るという。

「トランプ城」と言われる建物は、元は高級ソープランドだった。バブルが弾けたのもあり、開店からわずか数ヶ月で閉店してしまった伝説の場所らしい。8000万のシャンデリアがあったといわれるほど、内装もお金をかけていた。外観は大きく煤けたクイーンの絵とツタが生い茂っている。「クイーンシャトー」というのが正式名称だ。この界隈は風俗街であり、普通の女性が1人で歩くのもはばかられるような場所で、道を歩いているのもカップルか男が主だった。

外壁を見た時から原田さんには違和感があった。それが何なのかわからなかったが、周囲には歩いている人もいる。サラリーマン、ブレザーの学生、大学生、セーラー服の女子高生、いかにも商売関係のお姉さん。歓楽街なのに意外と普通の人たちも歩いているし、普通の女子高生も歩くんだなと思って見ていた。原田さんたちは不必要に騒がないようにそっと侵入した。知り合いの大人にでも見つかったら事だ。

トランプ城の中はもうズタズタだった。電気がつかないので、夕方の薄暗い中、奥は懐中電灯を照らして歩くが、下にガラスの破片がたくさん落ちていて歩くたびに靴底に何かを踏んでいる感じがする。受付のあったロビーだろうか、ゴージャスな雰囲気はあったが、ひどい落書きだらけで廃墟化が進んでいる。

「誰か通ったっぺ! 幽霊か?」

友達らがはしゃいでは奇声や悲鳴をあげていた。部屋の1つにいくと鍵が壊され、ソープランドの部屋の一部始終をみることができた。いかがわしい椅子なんかに座ってみたり。それも男子には好気の渦。

原田さんは彼女ができたばかりだったので、こういうエロい施設の廃墟に連れて来たらどうなるんだろうと、違う興奮を覚えていた。

彼女は他の高校の子だった。ブレザーの制服が特に可愛かった。2人でここに肝試しに来たら、怖がって抱き付いてきて、そして……。と妄想していた。

「こういうとこに女の子連れ込んでる奴らもいたみてえだな」

後ろでSがぽつりとつぶやいた。原田さんは自分の心が読まれたかと思って焦った。

「お前、見えんの? まさか……」

Sはうなずいた。そして窓の外を指さした。

「あれがそうだろうな。連れ込まれた子だな」

指さした先に、外壁の向こうに立っているセーラー服の女子高生がいた。黒いおかっぱの髪で、おとなしそうな感じだった。帰り道なんだろうか、なぜこんな場所を歩いているのか違和感があった。

「そういえば、あの子さっき俺達が入る時も歩いてたっぺ」

「原田も見えてたのか……、じゃあ後で言う……」

「何を言うんだ?」

Sがその後、体調が悪いと言い出し、みんなも出ることにした。Sは入った時から顔色が悪かった。霊感があるから色んなものが見えるそうだ。

外に出たら、さっきのセーラー服の女子高生が少し先を歩いていた。背を向けているので顔がよくわからない。Sが原田の肩を叩いた。

「あの子。変だってわかんねえ?」

「? わかんねえな」

「体半分しか壁から出てねえだろ」

「ええ!?」

その女子高生の身体は壁から半分しか出ていなかった。

すううっと壁伝いに歩いていき、左に曲がっていった。

原田さん達は悲鳴を上げて逃げた。Sはその子を追うように壁を左に曲がって行った。

後でSに聞くと、トランプ城で無理矢理レイプされて、無残にどこかに死体遺棄された子じゃないかと話していた。

「ここは君のいるところじゃないよ」

Sはその霊に語り掛け、セーラー服の少女は壁からすうっと消えたそうだ。

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