筑波大学の自殺者が多い理由(茨城県つくば市) | コワイハナシ47

筑波大学の自殺者が多い理由(茨城県つくば市)

つくばにある国立大学、「筑波大学」。ここでの自殺者の多さについて取材をしたBさんの話である。

現在は「つくばエクスプレス」が開通して比較的都内に出やすくなったが、それまでは研究都市として陸の孤島のように隔離された環境で、学生にとって孤独感や疎外感を感じやすい場所だから自殺するのではないか、という推測もあった。

ある校舎の屋上から女子大生が飛び降り自殺を図る時期が続いた。その時、校舎の屋上に黒い影があり、それが彼女たちを突き落としているという噂があったのだ。

その黒い影とは何だろう、というところまできていたが、大学関係者が口を割るわけがない。それを目撃したという学生に取材することにした。学生の名前はRさんとしておく。

ここから先はRさんの話を書く。聞き手はBさんである。

「私がその校舎を眺めた時でした。屋上から何かが落ちていくのが見えたんです。

グシャ! って音がして、何メートルか跳ね上がりました。それは屋上から飛び降りた人でした。スカートをはいてたから女性かな。自殺だったみたいです。

で、すぐに屋上を見上げました。大きな黒いものが見えたんです。それはさざ波みたいに消えていって、何もない状態になったんです」

「うわー、それは怖かったよね。すると君は、屋上で黒い格好の人物が突き落としたと言いたいんだね。それはどんな人だったのかな?」

「いえ、人じゃないです」

「どういうこと?」

「人の大きさじゃないんです。すんごい大きいんですよ、形でいうと『となりのト○ロ』みたいな。口は笑ってるみたいで、歯が出てました。それは。何か物体がたくさん集まって出来上がったような……。あ、『ス○ミー』って絵本知ってますか? あんな感じで魚がいっぱい集まって大きな魚にするっている感じの。そんな大きさなんです」

Bさんは困惑した。このRさんは少し頭がイカれてるな……こんな話をまともに聞いてていいんだろうか、と不安になった。

別の研究施設で「危険な廃棄ゴミを適当に処分している!」という情報もあり、別棟の研究施設の話になった。写真を撮ってきたというので、見せてもらった。

そこには死んだマウスの廃棄ごみの写真があった。

黒いビニール袋に詰め込んでいるところも写っていた。そのゴミ袋が山のようになっている。つまり研究用で使ったマウスの死体をビニール袋に入れて廃棄していると言いたいようだった。

「これ、他の動物もなの?」

「はい。中にはまだ生きてるのもあって、潰しそこねた動物もいたんです」

「潰し損ねたって……怖いねえ」

黒いビニール袋がモゾモゾとうごめいている姿を想像すると、ぞわっと寒気がした。

「それで、私は思ったんですけど」

Rさんはおずおずと言った。

「その突き落とした黒い影って、実験で殺された動物達の怨霊だと思うんです」

取材する相手を間違えたな、とBさんは後悔した。ねずみのお化けが出るってか?

ここの職員に言われていたことがあった。

「そういう、『見えもしないものを見えた』って言う人多いんですよ、この大学は……角度的に無理なのに首吊りが見えたとか、壁を登る霊がいた! とかね」

幻覚を見る学生が多い、しかし霊も幻覚の1つ、さっきのRさんの話もいささか的を射ている気はした。霊が見えない人には見える人の話が嘘にしか聞こえないのはある。

Bさんは飛び降りが多いと言われる屋上にも案内してもらった。取材はそこで終わる予定だった。

屋上に立つと鉄のフェンスがある。だが、よじ登れなくもない高さだ。ここからなぜ飛び降りるのだろうと、下を眺めた。

その時だった。小さな生き物が視界の端に写った。何か数10匹くらいの量のうごめくものがチカチカと視界に見える。音もなくサーっと寄ってくる感じだ。微生物が増えていくような感じ。なんだか呼ばれていくような気がして、フラッとしてよろめいた。

時空が狂った感覚になったというか、まっすぐ立つのがおぼつかなくなる感じだった。

「大丈夫ですか?」

職員さんが声を掛けてくれて我に返った。

「ここ、ねずみとかいませんか? 屋上で飼ってるとか……」

職員さんは怪訝そうにBさんを見た。

「いませんよ。でも、これだけ自然に囲まれたら虫や野生動物はいるでしょうけど」

「ここは、何人も落ちてる場所なんですよね」

「はい、まあ……。立て続けって時もありましたね」

「こんなに多いと、何か霊が作用してる、とは思いません?」

職員は答えた。

「私は……幽霊とかは見たことないんで。研究員も悩んで自殺するので、学生も真似してしまうとは言われます。ほかの大学では、こんなに人が亡くならないってことですか?」

Bさんは苦笑いをしてうなずいた。

その夜、自宅に帰ったBさんに異変が起きた。

寝室のベッドで寝ていると、下から無数のねずみが壁に這い上がっていく。その中には爬虫類や虫、ゴキブリの類も入っている。奇妙な小動物たちが、壁で一斉に1つの形になっていく。その形は……巨大なねずみの上半身と2本の手だった。

そしてその巨大なねずみはうごめきながらBさんの上に乗っかってくる。

「く、苦しい……」

喉を黒い大ねずみの2本の手で押さえられ、息ができなくなってきた。そして真上にねずみの影が覆ってきた瞬間、ボトボトと落ちて来るものがあった。

ねずみの大群だった。這い出す虫もいた。

Bさんの体中にそれはうごめき、ミャーミャーという動物の集合体の声が響き渡った。

「ぎゃあああ! やめてくれ!」

大声で叫んだ。それでも体を覆いつくす。気持ち悪い。もうこんなとこにいたくない、と振り払っていると、窓が見えた。思わず逃げようと立ち上がった。解放されたい一心だった。

「あっちへ行け!」

サッシの窓のカギを開け、外のベランダに出ようとしたときだった。

Bさんは足元に転がってた照明用リモコンを踏んでしまい、部屋の電気が付いた。

その一瞬で、サーっと黒い小さな物体が部屋の四隅に引いていく影が見えた。

ふと気づくと、片足がベランダに出ていた。Bさんのマンションは11階。落ちれば確実に死んだだろう。錯綜した自分に驚き、呟いた。

「俺は今、死のうとしてたのか?」

すぐにこのレポートをまとめて出版社に提出したが、デスクには「意味不明」と蹴られ、この文章が日の目を見ることはなかった。Bさんもそれ以降はこのことを誰にも話さなかった。

その夜以降は大ねずみの影を見ることはなかったが、あの気色悪さはどんな心霊のレポートより数段上だ。研究用マウスの霊は日増しに増えているはず、と震えながら話してくれた。

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