枚岡廃神社(大阪府東大阪市) | コワイハナシ47

枚岡廃神社(大阪府東大阪市)

大阪府東大阪市にある枚岡神社。東大阪市指定有形文化財に指定されている由緒正しき神社である。

しかし、目的地はそこではない。枚岡神社の裏手から山を登ったところに謎の廃神社があるという。以前、ルポライターの村田らむさんが取材をしており、その関係で廃神社の存在を知った。

今回も一人、真夜中の突入を敢行する。

山道はもちろん一切の明かりなく、漆黒の闇。道も大して舗装されているわけでなく、険しい道をただただ懐中電灯の光のみで進む。

途中、謎の石仏群に遭遇する。口紅が塗られた役行者像や、苔生した布袋ほ様、大蛇が絡みついた聖剣、置き去りにされた武者兜……。そしてひときわ意味がわからないのが、それらに混じって何故か祀られているダイヤル式の電話。その電話から出ているコードは石仏と石仏の隙間に入り込んでおり、引っ張っても取れない。まるで異世界と繋がっているかのよう。突然電話が鳴ったらどうしよう……と思った。

その先を登っていくと、「徳成寺」と書かれた怪しいプレハブ小屋の寺が姿を現す。ライトを当てると、青や緑や紫といった、およそ寺院とは思えない配色に彩られていた。実際には韓国人の住職が昼間は常駐しているそうである。

この寺が目的地ではなく、さらに先に行くと、道はより険しくなる。最早〝沢〟と言っても過言ではないような小川の流れる道を進み、ようやく開けた場所に出た瞬間、

〝ガサガサガサ!〟

僕の真横の茂みから突然音がした。

「うわぁ!」

真夜中の山奥で思わず悲鳴をあげてしまった。そしてすぐさま、

「ウウウウウウウウウ」

唸り声が響く。これは、幽霊ではない。猪だ。

僕は瞬時に命の危険を察知し、身を守れる場所を探す。

「ウウウウウウウウウウウウ」

まだ唸っている。

その時僕の頭をよぎったのが〝背水の陣〟だった。とにかく背後からの襲撃は防がねばと。僕は目の前にあった廃材の山を背にし、背水の陣ならぬ〝廃材の陣〟を敷き、暗闇の中、目に見えぬ猪と対峙する。

「ウウウウウウ……」

どれくらい向かい合っていたのだろう。やがて唸り声は聞こえなくなった。そして落ち着きを取り戻した時にふと気づく。僕が背にしていた廃材こそ、目的地である枚岡廃神社だったのだ。神社はすでに倒壊し、廃材と化していた。しかし、今はそれどころではない。本来の目的である心霊スポット検証そっちのけで、自身の命を守ることを優先する。自分が心霊スポットになってしまっては元も子もない。

僕は、猪に再び遭遇しないよう、大声で歌を歌いながら山を降りていった。

心霊スポットでは、こうした思いがけない危険も潜んでいるので注意しなければならない。

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