独りでに響くオルゴール(北海道札幌市) | コワイハナシ47

独りでに響くオルゴール(北海道札幌市)

二十年ほど前のこと。札幌に住んでいる加藤さんは週末、仕事の帰りに近くのレンタルビデオ店からビデオを借りて帰った。

借りたのは当時流行はやっていた映画『リング』のビデオだったという。

急いで食事と風呂をすませ、リビングでビデオを見はじめた。

映画もいよいよ終盤となり、別荘の井戸から戻った竜司が襲われるシーンとなった。テレビの中から実体化した貞子が、ゆっくりと部屋の中へと這いだしてくる。とその時、

───パラランランラン、パラランランラン……

「え!?」

部屋の中で突然背後から、オルゴールの音が鳴り響いた。驚いて振り返ると、壁に掛かった黒猫と目があった。それは数年前に買って壁に掛けっぱなしにしていたオルゴール。それが自分の存在をアピールするかのように、イッツ・スモールワールドを奏でながら、両耳を左右に閉じたり開いたりしている。

しかしオルゴールは本体の下にあるヒモを引き、それが戻る力で鳴る仕組みになっているため、自然に鳴り出すはずはないし、ヒモは本体に収まったままだ。

───ラララ……ランランラン……ラン……

唖然として見ている加藤さんの前で、オルゴールはひとしきり曲を奏でると、力尽きたように静かになった。

テレビからは貞子に襲われた竜司の断末魔が聞こえていた。

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