八事霊園(名古屋市天白区) | コワイハナシ47

八事霊園(名古屋市天白区)

名古屋を代表する霊園、八事霊園の周辺では、人間の霊のみならず、動物の霊も数多く目撃されている。これは霊園の中にある八事斎場が人間だけでなくペットの火葬も行い、供養するためと言われている。

会社員のOさんは小学四年の時、病死した祖父の葬儀の後、家族と共に八事斎場を訪れた。

祖父が火葬される番となり、木製の棺が火葬炉の前に置かれた。遺族が最後の別れを告げ、副葬品が中に入れられる。

Oさんもポケットからハンカチを取り出した。家族には内緒にしていたが、ハンカチの中には、死んだペットのハムスターがくるまれていた。祖父が亡くなったのとほぼ同じ時期にぐったりとして動かなくなったものだ。「がんばって!」必死にハムスターに呼びかけるOさんの努力もむなしく、ハムスターは息を吹き返すことはなかった。

悲しみに暮れるOさんは、大人達の会話の中で「八事ではペットの犬や猫も火葬してくれるんだ」という話を耳にした。実際にはペットの火葬は、人間とは別の場所で行うのだが、小学生のOさんはそこまで頭が回らず、ただ八事に行けば一緒に火葬してくれると考えた。

Oさんはポケットの中でずっと握りしめていたハムスターをハンカチにくるんだまま、棺に横たわる祖父の遺体の右足元にそっと置いた。ハンカチから手が離れる瞬間、Oさんは心の中で「あっ」と叫んだ。ハンカチ越しに、死んだはずのハムスターがぴくぴくっと動いたのだ。

うそっ、生きてる……?

Oさんは棺に近付き、ハンカチとハムスターを取り出そうとしたが、母親に制止された。

「いやっ……」

必死に抵抗するOさんは、周囲から「別れを惜しむ健気な孫」と誤解され、涙を誘った。結局、真実を打ち明けられないまま、棺は火葬炉へ運ばれた。棺が閉じられる直前、Oさんはハムスターがハンカチから飛び出したように見えた。

ああっ……。炉の扉が閉じ、棺が高温で焼かれていく様を、Oさんはぼう然と見守るしかなかった。

その時だった。Oさんははっとした。炉の中から叫び声が聞こえたような気がしたのだ。

しわがれた……男の叫び声……。

……そう、おじいちゃんの声にも似ている……。

皆は神妙な面持ちで火葬炉の閉じられた扉を見守っている。Oさんが見る限り、誰一人、炉の中からの叫び声に気付いた人はいないようだ。

まさか……おじいちゃん……生き返ったハムスターに刺激されて……火葬炉の中で……息を吹き返した?

同じ日に死んだのだから、そんな可能性もないとは言えなかった。

うめくような叫び声はしばらく続き、やがてOさんにも聞こえなくなった。

やがて火葬炉から、祖父の焼けた骨が遺灰と共に取り出された。

遺骨を収集する家族の横で、Oさんはハムスターの焼かれた骨を探したが、それはどこにも見当たらなかった。

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