廃学校のメッセージ(愛知県名古屋市西区) | コワイハナシ47

廃学校のメッセージ(愛知県名古屋市西区)

K氏が小学生の頃の話。彼が小学六年の時に鉄筋の新校舎が完成し、長年使われた木造校舎からの引っ越しが行われた。

机やイス、棚を移動させるといった作業も生徒たちが手伝った。そのご褒美か、これから取り壊される校舎の中で、生徒達は自由に落書きをすることが許された。

皆、チョークやクレヨン、絵の具で壁、窓、床に思い思いのメッセージや絵を書いた。

K氏も、場所的に穴場だった階段の脇の壁に、当時人気のアニメのロボットを描いた。その時、彼は壁の下に目が行った。

黒いマジックで「おまえをゆるさない」と書かれている。

マジックのインクは色あせて時間が経過しているように思えた。

ずっと前に書かれた……?

不思議そうに壁を見るK氏に、クラスメイトのY君が気付いた。

K氏はY君に文字を見せた。

「バカじゃねえの」

Y氏は鼻で笑って、その文字を蹴り上げた。

「どうせぶっ壊す校舎なんだから、何やってもいいんだよ」

そう言いながら何度も壁を蹴った。

壁が腐りかけていたのか、突然、ずぼっと鈍い音を立ててY君の靴が木の壁にめり込んだ。

Y君は苦笑いして靴を抜いた。

すると穴からふわっといくつもの白い物が飛び出て浮遊した。K氏がその一つを手に取った。鳥の羽毛だった。

なんで、壁の中に……?

K氏はできたばかりの穴の中を覗いた。

手前に何かが落ちている。指でつまんで取り出した。

それは最初、藁人形のように見えた。しかし糸で巻かれているのは藁ではなく、黄ばんで細長い小さな骨……鳥や小動物らしき骨だった。しかもその人形の顔や胴体の部分には、干からびて腐った肉片が幾重にも付着して異臭を漂わせた。

K氏は思わず床に捨てた。なんだ、これ……。

「ちょっと……K君……これを見て」

驚くK氏の横で、Y君が人形に気付かないまま、再び穴の中を覗いている。仕方なくK氏も顔を近付けた。

穴の奥には何かがひしめいている。暗くてはっきりしないが、白っぽく、人形と似た異臭が感じられた。

Y君が穴の周囲に手を触れると、壁に沿って切れ目があった。

Y君は切れ目に指を入れ、前に引っ張った。途端に長方形の板が壁から分離され、その瞬間、壁に詰まっていた、おびただしい数の骨の人形が、堰を切ったように穴から床にあふれ出た。

辺りには無数の羽毛が舞い上がり、すえた腐敗臭が立ちこめた。

二人は顔をしかめながら、はがれた板に一部が残るマジックの文字を見つめた。

おまえをゆるさない

……別に人に恨まれるようなことはしていないし……。

「……どうする? これ」

「気にすんなよ。全部捨てられるんだから、このままにしておこうぜ」

Y君に肩を叩かれ、K氏は何事もなかったようにその場から離れた。

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