そこにいる(東京都豊島区池袋) | コワイハナシ47

そこにいる(東京都豊島区池袋)

新田君の自宅での話である。

新田君は池袋のマンションにお姉さんと二人で暮らしている。この家に、というよりむしろ、新田君自身の周りには色々なことが起こる。

ある日、外から部屋に戻ってきた新田君は、押し入れの扉を開けた。

すると中には男が一人、膝を抱えて入っていた。

「あぁ、男が入っているな」

新田君は押し入れの扉をばたんと閉めた。

そして閉めてから気付いた。

「男!?」

昨日は誰も泊めていないし、誰かが泊まりにくる予定もない。そしてたった今、自分が戻ってくるまで部屋は施錠されたまま無人だった。

彼の自宅にいるのは、この男だけではない。

ある晩、新田君は長電話にかまけていた。数時間に及ぶ他愛ない長電話を終えた新田君は、トイレに行こうとして自分の部屋から出た。

電話のある彼の部屋からトイレに行くためには、まず部屋を出て次に玄関の前を通らなければならない。受話器を置いた新田君が玄関に通じるドアを開けたとき、しっかりと見えたのである。

顔が。

その顔は、闇の中にぽっかりと浮かんでいた。

首から下は明かりのない玄関の闇の中にすっかり溶け込んでいた。

そして、顔の中心にある両目ばかりが金色にらんらんと輝いていたが、それにも拘わらず瞳の部分を確認することができた。

ぼんやりした輪郭や髪型から判断するに、その顔はどうやら女性のものであるように思われた。顔は表情一つ変えず、宙に浮かび続けた。

「……その後の僕ですか?そりゃもう、パニック状態でした」

のほほんと語る新田君だが、その後も彼の周囲には見えざるものが見え続けている。

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