おばあちゃんのお菓子屋さん(神奈川県箱根町) | コワイハナシ47

おばあちゃんのお菓子屋さん(神奈川県箱根町)

箱根町とは正直言ってスーパーもお店やさんも何もない所で、当時コンビニも駅前に1軒あるくらいでした。

そんな中でOさんというお菓子屋さんは、お菓子の他にタバコ、雑誌にパンや日用品など生活用品を取り扱う、小さくはありましたがみんなが集まる貴重なお店でした。

そのお店のおばあちゃんと私の祖母は大変仲が良く、毎日のようにお店に行ってはレジスペースに2人で座って夕方までおしゃべりを楽しむのです。私も大変かわいがってもらいました。

おばあさんは祖母よりも歳上で高齢でしたが、

「この店は、飲んだくれで働かない旦那の代わりに、私が一生懸命働いて、子供4人を育て上げた大事な店だから、私が死ぬまで続けるのよ」

と言って、病気でパンパンに浮腫むくんだ足を台の上に載せてまでお店を続けていました。

「本当に大事なお店だから、1円のお金も無駄にしないように、こうやって自分で売り上げを計算するのよ」

と、いつも祖母に言っていたほど、Oさんのおばあさんにとっては命と同じくらい大事なお店だったのですが、長年の無理がたたって突然亡くなってしまったのです。

そして、おばあちゃんの生前からの遺言である、このお店だけはどうか続けて欲しいという遺志を引き継いで、お嫁さんが店を切り盛りすることになりました。けれど、お嫁さんも忙しいのでお店に立つことはなかなか出来ず、パートの女性を雇いました。

そして今度はパートのNさんがお店番を始めて営業しましたが、祖母は今までと変わらずOさんに通い続け、Nさんともおばあさんと同じくらい仲良くなって、またお店に行っては夕方までおしゃべりを楽しんでいたのです。そんなある日、Nさんがこんな話を祖母にしました。

「最近ね、うちのはす向かいの家のおじいちゃんが亡くなったんだけど、毎晩枕元に出てきて、一緒に行こうよ……一緒に行こうよ……って言うのよ……私どうしよう……」

と思いがけないことを言うのです。

そして、こんなことまで出てきました。

「私、今回ダメかも……」と。

そんなNさんの状態に祖母は、

「なに言ってんの。大丈夫よ。しっかりしなさいよ」

と励ましました。

Nさんは元から霊感が強く、霊は沢山見てきているようでしたが、そんなことを祖母に話してから、日に日に憔悴していくのです。

それから一週間ほど経ってから母がNさんと道でバッタリ会い、「こんにちは」と挨拶したのですが、その表情はうつろで目の焦点が定まっていなかったのです。

「あ、この人どこかおかしい……魂が抜けてる」

と母は思ったそうです。

そして、次の日Nさんは、自宅で首を吊って亡くなってしまいました。

Nさんが亡くなってから新しいパートの方がやってきました。

ですが、Oさんで働き始めて数ヶ月も経たないうちに辞めてしまったのです。

山へきのこ狩りに行って足をすべらせて崖から落ち、重傷を負ってしまったのです。

次に働きにきたAさんは、何事もなく働いていたので、祖母も母も何もなくて良かったねと話していたのですが、小学生のお孫さんが通り魔に遭い、重傷を負ってしまったのです。

こうして、Oさんに働きにきた人たちが次々に不幸に見舞われました。

そんなことがあってもずっとOさんに通い続けていた祖母が、その日お店に立っていたお嫁さんからこんな話を聞いたのです。

「実はね、お母さん聞いてくれる? パートさんを雇った時からずーっとお金の計算が合わないのよ。どうも3人共売り上げ金をくすねてたみたいなんだけど……。働いてくれてるから少々のお金だったらいいと思ってたのよ」

と。

祖母は思い出しました。

いつもの癖のように言っていたOさんのおばあさんの言葉を。

「大事な大事なお店だから、1円のお金も無駄にしない」

祖母は母に言いました。

「きっとおばあさんが全部見てたんだよ。手元もじーっとね。なんだかあの店に行くといつもおばあさんの気配がすぐそばでしてたんだよ」と。

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