中部地方 | コワイハナシ47

中部地方一覧

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耳鳴り(長野県 槍ヶ岳)

現在五六歳の宏志さんは、高校では山岳部と吹奏楽部に所属した。子どもの頃から父と一緒によく山に登っていたので、高校生にしては本格的な登山に慣れていた。 高校二年の夏合宿では槍ヶ岳に行った。槍ヶ岳は日本のマッターホルンと呼ばれ、標高は三一八〇...

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田毎の月(長野県千曲市)

《姨捨の棚田は、標高460mから550mの範囲の斜面に広がっていて、耕作面積は約40ha、1500枚を誇る。(中略)1999年、国の名勝・日本の棚田百選に指定され、2010年には国の重要文化的景観にも指定されている》 《実際に私は、夜中、...

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盆義理(静岡県)

遠州地方(浜松市を含む静岡県西部)の初盆は独特なものだという。玄関前の迎え提灯、盆提灯、迎え火・送り火など何処でも行う儀礼に付け加えて、葬式の祭壇と似た雛壇式の大きな祭壇を飾る。さらに祭壇の左右に灯篭と花の籠盛を据えて、いたるところに菊の花...

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臨終近し(長野県)

おじいさんの部屋にいたもの 女性イラストレイターの古庄さんの、子供時代のできごとだという。 ……長野にいる、おじいさんが倒れたというので彼女は両親に連れられて田舎に帰った。おじいさんは、数年前から持病のぐあいがよくなかった。 そうして...

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鬼姫 ──鬼姫生伝説──(岐阜県揖斐郡)

岐阜県揖斐郡の奥いび湖は、一九五七年に着工した横山ダムに伴って出来た人造湖で、民家や寺社など人々の暮らしの歴史が水底に眠っている。 藤橋村字《鬼姫生 》という集落もその一部で、湖畔に鬼姫生の墓を改葬した墓地と石碑がある。地名の由来は鬼にな...

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一切の煩悩を如来の種となす(静岡県浜松市)

仏教が定めるところの煩悩の数にちなむ本作では、一〇八つの怪談を綴る。煩悩まみれの作者に誠に相応しいお題を与えてくれた編集者の慧眼に怨み……もとい、感謝を抱きつつ、これまで蒐集した奇譚をせっせとご披露して参りたい。 大乗仏教経典の一つ『維摩...

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赤いシャツ(静岡県)

Sさんという女性は、静岡県でお母さんと共同でペンションを経営している。 ある年のお盆前のこと。 朝、キッチンで朝食の用意をしていると、視界の端に赤いチェックのシャツを着た中年の男性が立っているのに気がついた。 どうかされましたか?とそ...

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白い川(山梨県)

八月中旬、Sさんは友人グループと富士山近くの某所にキャンプに行った。 夜、Sさんは彼女とふたりきりの時間を作って、湖畔へ散歩に行くことにした。 湖は意外に離れていたので、ずいぶん歩いた。 やっと湖畔に着くと、ベンチを見つけてひと休みし...

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油紙(静岡県)

Aさんの親戚の家は、静岡で代々造り酒屋を営んでいる。 その家のおじいさんが亡くなった時、趣味で集めた骨董を蔵から出して、親戚一同で形見分けしようということになった。 兜、鎧、槍、刀、掛け軸、仏像、壺、皿、茶碗……。 蔵の前にズラリと並...

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梅狐(静岡市)

Aさんが静岡市の実家に帰ったときのこと。 床の間のある部屋に入ると、床柱の下にキラキラ光るものが置いてある。 なにが光ってるんだ? よく見ると、十五センチほどの狐がちょこんと柱の横に座っている。 体が眩く光っている。 綺麗な狐だと...

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残煙(愛知県)

三年前のこと。Tさんが友人ふたりと真夜中に、天狗神社と呼ばれている場所へドライブに行った。 神社は山頂にある。山の途中からは車を降りて徒歩で石段を登った。 まったく灯あかりがないので、懐中電灯だけが頼りだった。 登り切ってひと回りする...

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黒綿(石川県)

変なものを見た、と石川県に住んでいる友人から電話を受けた。 朝、Nさんはいつもの電車に乗っていた。 鉄道は単線なので、途中の駅で十五分ほど対向列車の通過待ちをする。その時のことだ。 ドアの窓から、いつも見える似たようなふたつの四階建て...