その他の話 | コワイハナシ47

その他の話一覧

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弥生の空に(山形県)

――ねぇ、あれ何?何か飛んでるんだけど! 五十メートルほど先の角を、ふわりふわりと飛んでいく。 白くて、ひらひらとした。布のような見た目の。 風など少しも吹いていないと言うのに。 この場所、この季節にしては暖かな、昼下がり。 丁度...

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下宿の近くの道(青森県弘前市)

弘前大学入学を機に、和江さんは居を北海道から青森へ移した。 今も昔も弘前大学の近くには下宿が犇めき合っている。 和江さんは大学まで自転車で十五分ほどの距離にある下宿に住んでいた。 下宿に隣接した家に管理人一家が住んでいて、管理人はお願...

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岩木山(青森県弘前市)

弘前市は一方通行の道や行き止まりが多いように感じられる。 小道はどこも緩やかなカーブを描いていて、目的の場所へまっすぐ進んでいるつもりが実は少しずつ離れていっている、なんてこともある。 もっとも、「ある」と言い切るには私は極度の方向音痴...

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湯治場にて(秋田県)

仙台市に住む紘子さんが、秋田県のとある温泉へ旅行した折の体験談である。 ここには、自然研究路という散策路がある。 すさまじい勢いで噴き出す源泉、含有成分で黄色くなった岩、立ち込める蒸気と硫黄の匂いに地球の息吹を感じられることで人気のスポ...

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小人(北海道根室市)

放送作家のSさんは北海道根室の出身である。 小学校五年生の時に、ある噂がたった。 小人が出たというのだ。 しばらくすると、それが捕まったという噂に変わった。 ある朝、寝坊をしたSさんは急いで通学路の商店街を走っていた。 ふと、見な...

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青森乃暖(青森県)

戦後、勘蔵さん一家が満州から帰国してからの話である。 親戚を頼って得た小さな部屋で、家族五人は身を寄せ合って暮らした。 最低限の日々の糧にも困る生活だった。 「さ、さんびぃ寒いな」 秋が訪れると、勘蔵さんは隙間風に震えた。 暖を取...

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やめて(宮城県仙台市)

仙台市在住の、竹山さんの体験談である。 独り歩く、深夜の帰り道。 人通りのすっかり絶えた目抜き通りの突き当たり。 わずかばかりの明かりが灯った公園の、鬱蒼とした木々の向こうから話し声がする。 あ、これは――竹山さんの本能が危険信号を...

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来る(山形県)

四半世紀ほど昔。篠井さんが、高校一年生の頃の体験談である。 ばすん。突然、家じゅうの電気が消えた。 真っ暗な部屋に、打ち寄せる波の音と、防風林を渡る風の音だけが響く。 これが停電でないことは分かっている。ブレーカーが落ちたのはでないこ...

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氷髪(東京都杉並区)

カメラマンのKさんは毎朝、杉並区の方南町から井の頭公園まで、神田川沿いにジョギングするのが日課だという。 ある朝いつもの道を走っていると、背中に悪寒が走った。 なんだろうと思ってまわりをよく見回すと、珍しく自分ひとりしかいない。 人通...

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廃工場日誌(近畿地方)

若き日の父が綴る戦慄の日誌 関西の某市にて倉庫業で生計を立てている那須さんは、隣接している自宅を改修する際、数年前に亡くなった学者肌の父親の部屋を整理した。長い間放っておいた部屋なのだが、その際、父親の愛用の机から一冊の日誌が出てきたので...

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山野夜話(抄)第七夜(東北地方)

「こつげな所に住んでっとなァ、自然と愉しみも決まってくるわけだずなァ」 佐竹さんはそう言いながら、青光りする愛用のカーボン製渓流竿を手に取ると、大事そうに布で磨き始めた。 自然の中で暮らしていると、趣味もそれを利用したものが主になってく...