
助けてくれぇ(青森県)
青森県の工藤清さんは、夜釣りでメバルが入れ食いになる地元の穴場を知っていた。六月のある晩のこと、そこで釣り糸を垂らしていると、風に乗って遠くから人の声が流れてきた。 「……てくれぇ……た……てくれぇ……」 どうやら「助けてくれ」と繰り返...
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青森県の工藤清さんは、夜釣りでメバルが入れ食いになる地元の穴場を知っていた。六月のある晩のこと、そこで釣り糸を垂らしていると、風に乗って遠くから人の声が流れてきた。 「……てくれぇ……た……てくれぇ……」 どうやら「助けてくれ」と繰り返...
清本拓郎は青森県黒石市で生まれた。両親は青森市で働いており、小さい頃はよく祖母に預けられていた。祖母は時々知人の林檎農家の手伝いをしており、そんな折は畑まで連れて行ってもらった。 子供の身体にとって畑の面積は宇宙ほど広く感じられ、木の傍に...
弘前大学入学を機に、和江さんは居を北海道から青森へ移した。 今も昔も弘前大学の近くには下宿が犇めき合っている。 和江さんは大学まで自転車で十五分ほどの距離にある下宿に住んでいた。 下宿に隣接した家に管理人一家が住んでいて、管理人はお願...
弘前市は一方通行の道や行き止まりが多いように感じられる。 小道はどこも緩やかなカーブを描いていて、目的の場所へまっすぐ進んでいるつもりが実は少しずつ離れていっている、なんてこともある。 もっとも、「ある」と言い切るには私は極度の方向音痴...
コウタ、タモツ、ハジメ。 高校生のヤンキー三人組だ。 その晩は、コウタの家にタモツとハジメが来て、ファミコンで遊んだ。 コウタの部屋は寝泊まりが可能で、タモツに至っては半同棲状態と言っても差し支えがないほど、しょっちゅう寝泊まりしてい...
青森県弘前市内のとある踏切を車で通過すると、車体を叩かれるような音と揺れがあり、車体にたくさんの小さな手形が付く。 という談話を以前取材し、執筆したことがある。 この話は地元の話であることと内容がイメージしやすいことから、その後の取材で...
仙台市で暮らす主婦の中野さんは青森県出身なのだそうだ。 その中野さんが地元で暮らしていた、二十歳の頃の出来事である。 新車を買った。その年に登場したばかりのホンダ・フィットだった。 当然、どこかへドライブに行きたくなる。 男友達二人...
青森市に住む山内さんが、自衛官時代に体験した話である。 青森駐屯地でのこと。 夜半になって勢いを増した雪は、一段と大きな牡丹の花弁を降り積もらせていた。 しかしそんな日であっても、警衛勤務は容赦なくやってくる。 警衛勤務とは、駐屯地...
道理でこのベッドだけ、誰にも使われず不自然に空いていた訳だ。 全身を金縛りに遭いながら、当時陸上自衛官だった山内さんは思った。 今、山内さんがいるのは隊舎ではなく、警衛所という建物である。 正門を入ってすぐにあり、来訪者が面会手続きを...
元陸上自衛官の山内さんが、八戸駐屯地勤務時代に体験した話である。 空気すらもキンキンに凍てつく、真冬の夜のこと。 当時、警衛勤務の巡回コース内には「旧監視所」と呼ばれる建物があった。 その当時、既に使われておらず、廃墟寸前のコンクリー...
戦後、勘蔵さん一家が満州から帰国してからの話である。 親戚を頼って得た小さな部屋で、家族五人は身を寄せ合って暮らした。 最低限の日々の糧にも困る生活だった。 「さ、さんびぃ寒いな」 秋が訪れると、勘蔵さんは隙間風に震えた。 暖を取...
私が、津軽地方某市に勤務していたときの話である。 赴任して最初の業務は、自分が仕事をすることになるオフィスの用地探しであった。 当地への進出自体がまだ非公開であったため、不動産業者には声を掛けられない。 そこで、家具付き賃貸アパート内...